「神業?」何度も台風の直撃を回避する伊勢神宮の「遷御の儀」

「神業?」何度も台風の直撃を回避する伊勢神宮の「遷御の儀」

「神業?」何度も台風の直撃を回避する伊勢神宮の「遷御の儀」

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 20年に一度社殿や神宝などを新しくする式年遷宮が執り行われている伊勢神宮で10月10日、内宮(ないくう)別宮の「伊佐奈岐宮(いざなぎのみや)」と「伊佐奈彌宮(いざなみのみや)」両宮で神様のお引越しに当たる「遷御(せんぎょ)の儀」が執り行われた。

伊佐奈岐宮と伊佐奈彌宮の一連の遷宮行事「遷御の儀(渡御の様子)」

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 両宮は、「月読宮(つきよみのみや)」(伊勢市中村町)の境内に「月読荒御魂宮(つきよみのあらみたまのみや)」と合わせて4宮が並んで立つ。同6日に月読宮と月読荒御魂宮で遷御の儀が執り行われ、これで4宮全てが新しくなった。

 昨年の10月2日と5日に伊勢神宮の内宮と外宮(げくう)の正殿、同10日と13日に内宮別宮の「荒祭宮(あらまつりのみや)」と外宮別宮「多賀宮(たかのみや)」でそれぞれ遷御の儀が行われ、計8宮の神様がお引越しを終えたが、これまで荒祭宮と多賀宮以外の6宮で台風の進路に悩まされてきた。しかしながら神業なのか?当日は、雨でぬれることなく無事に遷御の儀が執り行われている。

 昨年10月2日内宮正殿の遷御には、台風22号の進路が心配されたが東に進路を変え伊勢地方は特に雨の影響はなかった。その日、皇居のある東京では台風通過後の気象条件が重なり、高さ634メートルのスカイツリーをはるかに超える大きな虹が掛かったという。

 最も心配したのは同5日の外宮正殿の遷御時。台風23号の直撃が心配されたが、幸い台風は北寄りに進路を取ったため最悪の事態を回避。当日の天気予報では雨だったが19時30分ごろ少しだけ雨が降ったが傘を差さないでも問題ない雨量だった。気象衛星が撮影した19時30分の台風の目の画像はハート型になっていた。さらに驚くのは遷御が終わったと同時に雨が降ったことだった。

 同10日の荒祭宮は前日雨が降ったが当日は晴れ。同13日の多賀宮は全く心配なく快晴だった。

 式年遷宮第2章の始まりとなる今年10月6日、月読宮と月読荒御魂宮の遷御の日には、約400人の奉拝者を招待して行われる予定だったが台風18号の直撃が避けられないため、奉拝とマスコミの取材を全て中止にしたが祭典は予定通り行われ、5日の後鎮祭などは雨の中執り行われた。台風は同5日の晩から日本列島を縦断し、伊勢地方にも6日の午前まで強風と大雨をもたらしたが、午後からは青空が広がり、遷御の儀が行われる20時(月読宮)と22時(月読荒御魂宮)には、月の神様にふさわしい「十三夜」の美しい月明かりの下での祭典となった。

 そして今回の同10日の伊佐奈岐宮と伊佐奈彌宮の遷御も、台風19号の進路が非常に気になったが台風の襲来の前に無事行われ、雨の心配は必要なかった。この日は、全国的に夕焼けが美しく赤く染まったのが印象的だった。

 遷御の儀など式年遷宮の大切な祭典の日時は、その日が最もふさわしい日として天皇陛下が決定する。戦後になってから、ご神体が雨に濡れないように「雨儀廊(うぎろう)」が設置されるようになったが、第62回式年遷宮では今のところその役目は果たしていない。

 残す別宮での遷御の儀は、計7日で8宮。11月7日「瀧原宮」「瀧原竝宮」、11月28日「伊雑宮」、12月3日「風日祈宮」、12月10日「倭姫宮」、2015年1月28日「土宮」、2月28日「月夜見宮」、3月15日「風宮」。雨儀廊が役に立つのはどの別宮の遷御の日になるのだろうか?

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