海上自衛隊が現在、松阪港(松阪市)を拠点に伊勢市から松阪市までの約10キロ沖伊勢湾上の約47平方キロメートルの海面を使った大規模機雷除去(機雷戦)訓練を行っている。
「機雷」は、機械水雷の略で、船が接触するだけで爆発する触発機雷、船の磁気や音、水圧などに感知し爆発する感応機雷などの種類に、それぞれ海面、海中、海底型があり、敵国の海域に敷設したり防衛のため自国領土の海域に敷設したりする兵器のこと。
「掃海艇」は、安全な航路確保を目的に機雷を除去するために作られた船で、感応機雷が感知しないように木やFRP製の船体、磁気を帯びないようにアルミ合金などを使ったエンジン、静音性のある電気モーターなどでできている。
湾岸戦争後のPKO(国際連合平和維持活動)で「ペルシャ湾掃海派遣部隊」が編成され(1991年6月5日~9月11日)自衛隊初の海外派遣活動となった「湾岸の夜明け作戦」では、34個の機雷処分を遂行し国際貢献を行った。
2月1日~10日の日程で行う同訓練。現在伊勢湾には、海自が持つ掃海艇29隻のうち22隻(掃海母艦1隻、掃海艦3隻、掃海艇16隻、掃海管制艇2隻)、航空機(MH-53E)2機、隊員約1100人が集合。第1掃海隊群(訓練統制官=掃海隊群司令 海将補 岡浩さん)による訓練を行っている。
2月4日は、76ミリ砲を装備する掃海母艦「ぶんご」(5700トン)からダイバー・EOD(水中処分員、Explosive Ordnance Disposal diver)をヘリコプターに乗せ、上空から海に潜水し機雷を除去するヘローキャスティングや、船体が木製でエンジンなどはアルミ合金などで作られた掃海艇「みやじま」(510トン)では、水中カメラと機雷探知機(ソーナー)の付いた機雷処分具(仏製、PAP104 MK5)を浸水させ機雷を掃討する訓練などが行われた。
海上自衛隊ぶんご航海科の福江信弘さんは、32年間で潜水計9500時間を記録。「2010年に神戸港で、第二次世界大戦中の物と思われる機雷が発見された際、その爆破処理を行った。爆破処理には危険が伴う」と淡々と話す。「しかしながら、肺を痛めたため現在は海の上での業務がメーン。1万時間まであと少しだったのが心残り」と今もなお使命感に燃えている。