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逆風吹く中、大麻栽培に皇學館大学と三重の神社界が本腰 伊勢麻振興協会

逆風吹く中、大麻栽培に皇學館大学と三重の神社界が本腰 伊勢麻振興協会(写真は同協会のホームページから)

逆風吹く中、大麻栽培に皇學館大学と三重の神社界が本腰 伊勢麻振興協会(写真は同協会のホームページから)

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 日本古来の麻文化を見直し復活させようと皇學館大学(伊勢市神田久志本町)と三重県神社庁(津市鳥居町)を中心とした神社界が本腰を入れようとしている。「伊勢麻振興協会」(伊勢市大世古)の改組報告のための記者発表が11月4日、同大学記念講堂大会議室で開かれる。

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 同協会は、日本古来の麻文化が急激に消滅しようとしている現状を憂い、危機を打破しようと麻の重要性を広く訴え、一昨年12月に設立された。昨年5月には麻の文化を伝える講演会を開いた。現在、伊勢周辺での栽培を目指そうと、国の新規就農者総合支援助成金を受け麻の栽培・精麻(せいま)加工を行うため2人を栃木県に派遣している。

 同大学現代日本社会学部学部長の新田均教授は「古来伊勢神宮や全国各地の神社では大麻をはらえ具に付けたり、しめ縄にしたりしている。穢(けが)れをはらうために神主が振る『祓串(はらえぐし)』が『大麻(おおぬさ)』と言われるのもそのためだ。特に重要な祭典では今でも穢れを寄せ付けないために大麻を頭に巻いたり、たすき掛けにしたりしている。横綱の化粧まわしも大麻で作られる」と説明。

 一方、「現在、日本で栽培される伝統的な大麻の生産農家は、栃木県鹿沼市にわずか11軒。ほとんどが後継者のいない高齢者。神社で使われるものでも90%が中国産、場合によっては模造品のビニール製で代用している」と嘆く。今回の記者発表では、同大学と同庁の関係者が理事に就く改組について説明する。

 今年10月、まちおこしで大麻を栽培していた鳥取県の会社「八十八や」代表の上野俊彦容疑者と、沖縄県石垣島で元女優の高樹沙耶(本名=益戸育江)容疑者が、大麻所持を理由に大麻取締法違反の疑いで逮捕された。

 新田教授は「世間では『大麻=犯罪』の認識が定着しようとしている。古来日本で栽培されている大麻(サッティバ種)には精神作用を有する物質のTHC(テトラ・ヒドロ・カンナビ・ノール)の成分は微量な上、CBD(カンナビ・ジオール)というTHCの効果を打ち消す物質が多く含まれるため麻薬としての効果はない。鳥取の事件は栽培は日本産大麻だが所持はTHCを多く含む密輸大麻(インディカ種)。石垣島の事件も所持していたのは密輸大麻。逆風吹く中だが、あえてこの時期に説明しなければ。繊維採取を目的とした大麻栽培について理解していただき、マスコミを含んだ多くの人の誤解を払拭(ふっしょく)したい」と話す。

 記者発表では、改組について、大麻について、同協会の事業計画などについて説明する。開催時間は13時30分~。

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