南伊勢町奈屋浦漁港に5月26日、生きた状態の深海魚「メガマウス」が水揚げされ、漁港がマスコミ各社の取材陣でにぎわいを見せた。
メガマウスは早朝2時ごろ、水深約100メートルの地点からサバやアジなどを取る巻き網漁船「第一長久丸」の網に掛かったもの。体長約5メートルの雌。
17時過ぎに海遊館(大阪市)の西田清徳館長と飼育員計3人が大阪から到着すると、飼育員2人が潜水しメガマウスの状態を確認した。
西田館長は「目やエラの反応などを確認したところ元気だが、この状態で飼育することは困難と判断し、漁師さんと相談した結果、海に逃すことが最善と判断した」と説明する。漁業者らは複雑な表情のままその決断を受け入れた。
18時過ぎに飼育員がメガマウスの血液を採取し、そのまま漁港沖に放す準備をした。
西田館長は「我々は飼育展示することだけが目的ではなく、生きている命を守ることも大切な使命だと思っている」とも。
同船は、2005年1月23日にもメガマウスを引き上げており、その時は死んでしまったため、鳥羽水族館(鳥羽市鳥羽)がはく製にして現在も展示している。