伊勢志摩国立公園内の静かな五ヶ所湾の海辺に建つ伊勢現代美術館(南伊勢町、TEL 0599-66-1138)で現在、本館1階展示室で彫刻家の岡本敦生さんの新作展「水を彫る - 2017 “excavate a water - 2017”」が開催されている。
1951(昭和26)年広島市出身の岡本さんは、1977(昭和52)年に多摩美術大学大学大学院彫刻科を修了。主に、御影石の彫刻作品が多く、これまでにヘンリー・ムーア大賞(1983年)、第2回朝倉文夫賞(1989年)、第12回ヒロシマアートグランド・ヒロシマ国際文化財団美術奨励賞(1994年)、第27回中原悌二郎賞優秀賞(1996年)などを受賞。国内外の展覧会へも積極的に出品し、シンポジウムなどにも参加する。2005 年には画家の野田裕示さんとのコラボレーションにより第21 回現代日本彫刻展で毎日新聞社賞を受賞した。現在は、女子美術大学と多摩美術大学の非常勤講師を務める。
同作品は約13メートル×約7メートルの展示スペース1面を使い、水の屈折率を正確に計算して1つの御影石を約1週間掛けて彫り上げ、計7本を展示する。岡本さんは「御影石だけで『水の無い空間に水域を作る』というコンセプトの作品」と説明する。
岡本さんは「展示スペースに穴を空けてもいいか?と聞いたところ『後で補修してもらえれば(大丈夫)』と言われたので展覧会の開催が決まった。なかなかそんなことを柔軟に引き受けてくれる美術館はないので、恐らくこの作品はここでの展示が最初で最後になるのでは」とも。
9月16日からは別館「宇空」で、旧作展を開催。屋外展示スペースでも岡本さんの作品5点を常設展示している。さらに同日14時~15時にはオープニングセレモニーとして、日向恵子さんのフルートと杉本奈穂さんのピアノコンサート(500円)、15時20分~16時には岡本さんによるギャラリートーク(無料)が行われる(共に入館料必要)。
開館時間は10時~17時。火曜・水曜休館。入館料は、一般=700円、中・高・大学生=500円、小学生無料。2018年1月22日まで。
同館2階展示スペースでは、鈴木智教(としのり)展「nature&art」も同時開催。10 月9日まで。