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伊勢湾沿いの海岸から200キロ先の富士山と朝日重なる「王冠富士」

伊勢湾沿いの海岸から200キロ先の富士山と朝日重なる「王冠富士」(撮影=泊正徳)

伊勢湾沿いの海岸から200キロ先の富士山と朝日重なる「王冠富士」(撮影=泊正徳)

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 志摩市在住の写真家・泊正徳さんが7月22日、直線距離で200キロ以上離れる富士山と朝日が重なる「王冠富士」の撮影に成功した。

【その他の画像】伊勢湾越しに富士山と朝日が重なる「王冠富士」

 今年の夏至6月22日には、少し雲はあったが二見興玉神社(伊勢市二見町)の夫婦岩の大しめ縄の間から富士山と朝日が重なった。毎年5月下旬から夏至を挟んで7月下旬までの期間、伊勢湾沿いの富士山が見える海岸から毎日場所を移動しながら、朝日と富士山が重なっている。

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 泊さんは「王冠富士」を撮影しようと、6月に入ってから雨の日以外のほとんどを日の出時間前に現場に到着して三脚を立てていたという。「6月5日に立派な『王冠富士』が出たが、その日はたまたま行くことができなかった。悔しかった…』と泊さん。

 この日も3時に起床し、約1時間かけて志摩から車を走らせたという泊さん。伊勢神宮に仕えた斎王(さいおう・いつきのひめみこ)がみそぎをしたといわれる明和町の大淀(おいず)海岸に到着すると、泊さん同様に「王冠富士」を狙う松阪市在住の吉田紘さんらと共に朝日が出るのを待った。

 4時57分ごろ、小さなオレンジ色の光が現れると富士山の左の肩(真っ直ぐな稜線)を映しながら次第に大きく光り、頂上まで上昇すると右の肩も写して、バックライトに照らされた富士山がくっきりと輝いて現れた。泊さんはその間シャッターを切り続けた。

 泊さんは「『王冠富士』と名付けたのは吉田さん。僕にとって富士山は王様のような存在。本当に王冠のようだった。念願叶ってやっと撮らせていただけた。30日以上は通い続けたかも。今晩はおいしいお酒が飲めそう」と微笑む。

 泊さんは「毎日通っていたのに、なぜ行かなかった6月5日だけ王冠富士が見えたんだろう。どうして撮らせてもらえなかったんだろうと、ずっと考えていた。それまでは『撮ってやろう』という思い(おごり)があったからなのかも…。写真を通して自分に出会っている。毎日通えば誰にでも必ず撮らせていただけると思うのでチャレンジしてみては」と話す。

 三重県の四日市市から鳥羽市まで伊勢湾沿いの海岸からは、ほぼどこからでも富士山を観測できる(三重県は、海抜0メートル地点から富士山を観測できる最遠の地)。朝日と富士山が重なるのは、津市の海岸を5月3日ごろスタートし、夏至に伊勢市二見町を折り返し、8月10日ごろまで。ただし、四日市市から松阪市までの位置からは富士山の前に山々が連なり、その山に富士山が隠れるため、富士山と認識することはかなり難しい。富士山と認識できる場所から朝日と重なるベストポイントは、明和町の大淀海岸から伊勢市二見町夫婦岩の海岸までの区間となる。