昔ながらのみそ造りが1月27日~31日の5日間、日本の神話や伝統文化、大和心(やまとごころ)を伝える「伊勢やまとごころの伝承館 華雅庵(かがあん)」(多気郡明和町)で行われている。
【その他の画像】明和町の「伊勢やまとごころの伝承館 華雅庵」でみそ造り
同館は、斎宮(さいくう)跡地のすぐそばで、かつて伊勢神宮の祭典を奉仕する斎王(さいおう)がみそぎをしたとされる祓川(はらいがわ)の下流域に立つ古民家を活用し、日本人の精神性について学ぶ場所として2014年に開かれた道場。主宰するのは、日本各地で「洗顔洗心塾」や古事記に日本の生き方を学ぶ「華都子塾」を開いている今野華都子さん。
みそ造りは毎年1月~2月の寒い時期に行っている恒例行事で、今年で6回目。ゆでた三重県産の大豆「フクユタカ」、沖縄の天然塩、麦と米のこうじ、昆布などを調合し、これまで日本のどこでも実践されていた製法で化学調味料を一切使わずに作っている。大豆をゆでる作業は、豆料理などを提供する「せいわの里 まめや」(多気町丹生)が担当し2年目になる。
今年は、5日間に約50人が全国から訪れ、仕込んだ。仕込んだみそは併設の蔵で1年間寝かせるため、毎年参加する人にとっては昨年仕込んだみその完成を祝う時にもなる。同館の和室にシートを張った「作業所」では、和になって踊りながらマメを足で踏む作業や、マメとこうじの分量を調整しながら混ぜる作業、昨年仕込んだみそをつぼから取り出す作業などが手際よく行われていた。
栃木県から参加した長澤京子さんは「『楽しく、優しく、和をもって』がみそ造りには欠かせない。いつも今野先生に教えていただいている教え。いつものメンバーやここで初めて会う人と仲良くみそ造りをすることが楽しくて、毎年ワクワク」とほほ笑む。和歌山県の佐藤千恵子さんは6回目の参加。「みんなと力を合わせて造ることがとても楽しい。材料を吟味してくれているので、安心して食べられる最高のみそが出来上がる。子どもや孫たちがこのみそでないと駄目だと言うようになった。昨年仕込んだみそが今までの中で一番の仕上がりになったので今年は特にうれしい」と喜んだ。
今野さんは「みそ造りは日本の伝統文化継承の一環。みそを造ることで食生活がみそを使った料理中心になっていくこと。仲間たちがここで集うことで自分の生き方の確認ができること。ただみそを造って食べるだけでなく、大切なものは何か、例えば微生物の力を借りて生きていることもそうだが、生かされているということを直接見えないものにも感謝し意識を向けること。毎年の繰り返しからの経験が『知恵』となっていくことなど、学ぶべきものは多い」と話す。
「今後は日本の着物・和服についても継承していける取り組みができれば。日本に昔からある『本物』を知り触れる機会をこの地でつくることができれば。気軽に参加してほしい」とも。