津波の教訓をいつまでも忘れないように、災害が起こらないようにと祈願し、津波による被災者を供養する神事「郷中施(ごじゅうせ)」が6月17日、二見興玉神社(伊勢市二見町)の境内社「竜宮社」で行われた。
【その他の画像】「キュウリ」「ナス」「ミル」「マツナ」を載せた木船
1792年、この地方を襲った大津波によって二見町江(え)地区の民家約20戸が流出し、残った家はわずか5、6軒という大災害があった。その時、同神社の氏子たちが施し合い助け合い、水難を克服したという。
郷中施は、この教訓を後世に伝えるために、海の神・綿津見大神(わたつみのおおかみ)を祭る竜宮社において、被害のあった旧暦の5月15日に毎年欠かさず執り行われている。
神饌(しんせん)には、子どもから大人まで理解できるように「(津波を)急に、見るな、待つな」の語呂合わせで「キュウリ(野菜)」「ナス(同)」「ミル(海草)」「マツナ(海浜性植物)」を木舟に載せて供える。祭典が終了すると竜宮社前の竜宮浜から巫女(みこ)2人が神饌を海に流した。
祭典では、昭和天皇の御製「天地(あめつち)の 神にぞいのる朝なぎの 海のごとくに 波たたぬ世を」を拝誦(はいしょう)し、巫女が「浦安の舞」を舞った。前日まで強風で荒れた海だったが、この日は穏やかな陽気で波静かな一日だった。