三重ブランド「的矢かき」の生産・販売を行う佐藤養殖場(志摩市磯部町)が4月1日、ホテル「グランドメルキュール伊勢志摩リゾート&スパ」(同)の敷地内にある別棟の建物を借り受け、生ガキなどを提供する和食レストラン「別亭 まとや」をオープンした。
志摩市の「グランドメルキュール伊勢志摩リゾート&スパ」内に佐藤養殖場直営レストラン「別亭 まとや」
4月1日は、同社が100周年事業の一環で「的矢かきの日」と記念日登録した日。成長したカキを紫外線殺菌した海水に18時間以上漬け浄化する「紫外線滅菌浄化法」などを発明した水産学者の佐藤忠勇博士(1887~1984)が1925(大正14)年に創業。当時、生では食べることができなかったカキを安心して食べられるようにした功績を持つ。的矢湾で養殖するマガキを「的矢かき」とし、2002(平成14)年3月に「三重ブランド」第1号に認定された。
同ホテルは、1987(昭和62)年開業の「伊勢志摩ロイヤルホテル」で、もともと大和リゾート(東京都千代田区)が全国展開していた「ダイワロイヤルホテル」ブランドの一施設。ダイワロイヤルホテルは2024年4月から、110カ国以上で5800以上の宿泊施設、1万を超えるレストラン・バー施設などを展開する仏パリを拠点とする「アコー」グループの運営下になり、「グランドメルキュール」または「メルキュール」にリブランドされた。「グランドメルキュール」ブランドでは10カ国以上で80以上のホテルを展開する。
「別亭 まとや」は、平屋建ての和風建築で日本庭園も整備され、ホテル棟から屋外に出た別棟にある。7部屋の個室には6人がけの掘りごたつ式テーブルを設置し、最大42人分の予約を受けることが可能。
メニューは、生ガキ、焼きカキ、カキフライなど「的矢かき」(5月~8月前半は「的矢岩牡蠣(がき)」)を中心に、炭火で焼いた伊勢エビや伊賀牛など県内の食材を織り込んだオリジナルの会席を用意。志摩市内の水田に同社のカキ殻を入れて作った酒米を大田酒造(伊賀市)と共に醸した日本酒「純米吟醸 廻(めぐり)」(グラス1,400円)もカキ料理と共に提供する。
濱地大規社長は「われわれはカキ養殖の生産者で、ホテルと工場は車で10分以内の距離。安心して食べられる状態に仕上げたカキを新鮮なまま提供できるのが一番の強み」と話す。
タイ・バンコクのホテルでフレンチシェフとして活躍していた経験を持つ同ホテルの坂野竜也総支配人は「伊勢志摩にやってきて、的矢かきのおいしさに感動した。何度も佐藤養殖場に通い、多くの人に食べてもらいたいと素直に思った。ホテルと生産者が連携し、観光と地域の一次産業を結びつけながら、単なる宿泊施設にとどまらず、地域の魅力を発信する『食の拠点』としての新たなビジネスモデルを目指していきたい」と思いを込める。
濱地社長は一方で、「2000年代に入り、ノロウイルスが食中毒の主要原因として広く認識されるようになり、厚生労働省などが対策を強化し衛生基準が厳格化されると、国内の大手ホテルチェーンなどで『生ガキを提供しない』内規を設けるケースが増えた。さらに厳しく、カキなどの二枚貝そのものを扱わない方針にまで拡大しているのが現状。今回の出店はその時代の流れに逆らいながらも、自信を持って最高のカキを安心して安全に召し上がっていただけるように細心の注意を払いながら、カキ養殖の生産者としてのプライドと責任を持って臨んでいる」と気を引き締める。
営業時間は17時~21時30分。会席料理の料金は1人1万8,150円(子ども用メニュー「お子さま料理」は4,840円)。