日本の神話や伝統文化、大和心(やまとごころ)を伝える明和町の「伊勢やまとごころの伝承館『華雅庵(かがあん)』」(多気郡明和町)で1月24日~28日、昔ながらのみそ造りが行われ、全国から47人が参加した。
【その他の画像】「伊勢やまとごころの伝承館」みんなで楽しく踏み踏みみそ造り
華雅庵は、日本各地で「洗顔洗心塾」や古事記に日本の生き方を学ぶ「華都子塾」を主宰する今野華都子さんが2014(平成26)年に開いた道場。斎宮(さいくう)跡地のすぐそばで、かつて伊勢神宮の祭典を奉仕する斎王(さいおう)がみそぎをしたとされる祓川(はらいがわ)の下流域に立つ民家で日本人の精神性について勉強会を行っている。
みそ造りは毎年大寒近くの寒い1月に行っている恒例作業で、今年で7年目。国産の大豆と与那国島の与那国海塩(沖縄県八重山郡)の天然塩、麦と米のこうじを調合し、根昆布を乗せ、仕込んでいる。一昨年から大豆生産や豆料理を提供する「せいわの里 まめや」(多気町丹生)から大豆を購入し、煮る作業を委託している。今年は三重県産大豆=フクユタカ120キロを購入し、今野さんらが昨年宮城県で育てた丹波白大豆25キロを持ち込み、それぞれの大豆を煮た。
かつて日本の一般家庭でも行われていたみそ造り。大豆を水に漬け煮る作業は委託するものの、その日の朝にゆでたての大豆を袋に入れ足で踏むなどしてつぶし、塩やこうじをブレンドし、かめの中に空気が入らないように入れ、一面が真っ白になるように塩を、その上に根昆布を乗せて、殺菌を丁寧に行ってラップで密閉する。仕込んだみそは併設の蔵で1年間寝かせ保存する。
毎年参加する人にとっては昨年仕込んだみその完成を祝う時でもあるため、昨年仕込んだみそを開ける瞬間には一同が感動し声を上げている。
今年からカツオを志摩でいぶしカビ付けを行う「まるてん」(志摩市大王町)のかつお節を丸々一本入れた。5日間に仕込んだみそは約10キロ入り62かめ(合計約620キロ)になった。
岐阜県下呂市出身の江藤洋子さんは「まめやさんが豆の煮方を毎年、研究してい下さり、改良を重ねてくれて今年も最高の状態で準備してくれた。昨年試験的にかつお節を丸々一本を入れたところ、最高においしいみそができたので、今年の仕込みには最初からかつお節を入れた。昨年仕込んでできたみそのかつお節入りと、入れていないものを比べるとその違いが歴然だった。来年出来上がるのが楽しみ」と話す。
8年くらい前から毎年自宅でみそ造りをしているという東京出身の林くみ子さんは「毎年1人で仕込んできたが、みんなで造ることがこんなに楽しいということを実感した。この楽しいという気持ちが、みそにも入ると思うので、東京から来てよかった」と話す。
今野さんは「毎年ひとかめごとに手を入れてみその熟成、発酵具合を確認しているが、年々良くなっていることが分かる。仕込み方も段取りも年を重ねるごとに最善になっている。毎年参加する人たちが自分たちが造るみそをほかの人に伝えてくれて、その広がりが大きくなっている」と説明する。
「みそは、今では誰でも手軽に簡単に購入できるが昔ながらの日本の食文化・発酵文化が、国内外で見直されている。微生物の働きを通して日本人は健康を保ってきた。みそ作りを通じて、みそを日常に取り入れることで食を考えるきっかけになれば」とも。「今年は旦那さんも多く参加してくれたので夫婦仲良く、みそ作りに取り組んでくれたのもうれしかった。来年はこうじ造りにもチャレンジできれば」とほほ笑む。
来年のみそ造りは、2021年1月23日~25日を予定する。