伊勢出身のカメラマン中野晴生さんの写真展「伊勢の神宮-和紙に描く 聖なる地」がイギリス・ロンドンで開催され、大好評の末閉幕した。
同展は、伊勢神宮の公式カメラマンである中野さんが、20年に1度の伊勢神宮式年遷宮の様子を撮影した作品を和紙に印刷、写真展を通して日本独特の伝統、文化、自然、四季を広くイギリスの人々に紹介しようと企画したもの。22点(和紙への印刷作品は8点)の作品が11月1日~12月12日までの期間展示された。主催は大和日英基金(The Daiwa Anglo-Japanese Foundation)。伊勢神宮・神宮司庁、国土交通省(ビジットジャパン・キャンペーン)などの後援も得た。
初日のプライベートビューではオックスフォード大学留学中の三笠宮彬子女王殿下も来場され、80人の出席予定が140人に膨れ上がるほどの盛況振りを見せた。来場したイギリス人からは「伊勢に行ってみたくなった」「神宮の持つ自然に触れてみたい」などと感想が多く寄せられ、「当初の目的を達成できた」(中野さん)という。
実家が伊勢神宮に神饌を納める鮮魚商だった中野さんは、18歳でカメラマンになることを決意し、大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ大阪校)に入学。在学中に東アフリカを旅しながら写真撮影する仕事を引き受け中退。その後、ヨーロッパ、中南米に足を伸ばし、約5年間、海外を撮影して回る。帰国後はフリーカメラマンとして活動。「週刊新潮」に3年間連載した写真をまとめた、写真集「湖沼の伝説」(新潮社)を出版する。
会期を終えイギリスから帰国した中野さんは「毎日欠かさず世界平和をお祈りしている『伊勢神宮』を伝えたかった。写真を和紙にプリントした理由は、光沢紙では出せない暖かさが表現できるから。雪の写真ではその暖かさが神宮の『奥行き』を表現できた。今回イギリスで評価を得たので今後フランス、ドイツなどヨーロッパでの展覧会を積極的に開催したい」と話す。