来年5月に創業65周年を迎える旅館「いかだ荘 山上(さんじょう)」(志摩市磯部町、TEL 0599-57-2035)が、カキ好きが集うオンラインサロン「BALSA(バルサ)」の運営を始めて1カ月がたった。
【その他の画像】志摩市の旅館「いかだ荘 山上」から見る的矢湾の景色
三重ブランド第1号認定のブランドカキ「的矢かき」のフルコース料理をメインに提供する同施設。独自の養殖方法で一年中食べることができる新たなカキブランド「伊勢志摩プレミアムオイスター」は、2016(平成28)年から生産を開始し、順調に出荷量を増やして、国内外の富裕層向け商品としても人気が高くなっている。現在的矢地区のカキ養殖業者らと、「伊勢志摩プレミアムオイスター」のさらなるブランド化のために、地域一丸となって取り組んでいる。
オンラインサロンは、会員制のコミュニティーで、カキのおいしさ、カキの食べ方やカキのある暮らしの楽しみ方などを共有する場として、カキ好きを増やし、伊勢志摩地域の魅力を発信するのが目的。同施設1泊2食付きペア宿泊を年間最大3回無料招待、中元・歳暮の年2回「的矢かき」発送、自社運営のネットショップで販売する商品を15%引きで提供、フェイスブック上の非公開グループへの招待が、会員特典として付く。
同施設3代目代表の井坂泰さんは「昨年からの新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、旅館の売り上げは70%減、昨年の3月は80%減になった。昨年3月26日に伊勢のおかげ横丁にオープンした飲食店は、オープン17日目でクローズすることになってしまった。さらに6月19日、私が脳梗塞で倒れ入院することに。手足は不自由になったものの、幸い、脳は正常に戻り、話すこともできるようになった。病室でコロナ禍での事業運営について、さまざまなことを勉強しシミュレーションし、何ができるかを深く考えた。オンラインサロンはそのうちの一つ」と打ち明ける。
井坂さんは「コロナ禍であろうとも、的矢のカキを通して『食べる』『知る』『交わる』を楽しんでいただきファンになってもらいたいという強い思いから、『BALSA』を立ち上げた。『BALSA』のロゴには、いかだがカキを守り育てていくように、楽しむ人と共に、海を守り、おいしいカキが未来に継承されるようにと思いを込めた。特典は、本当のファンづくりのための投資でもある。的矢湾のカキの未来と新たな挑戦を応援し、見届けていただける人に入会いただければ」と訴える。
同施設は、安心しておいしいカキが食べられるようにと「垂下式養殖法」や「紫外線滅菌浄化法」など今では世界中に広まっているカキの養殖法を発明した佐藤養殖場(同)の創業者の佐藤忠勇(ただお、1887~1984年)さんのアドバイスを受けて「的矢かき」メインに取り扱う宿泊施設として先々代の井坂博さんが1957(昭和32)年5月3日創業。4月10日・11日には、65周年記念イベントとして井坂さんによる創作料理の提供や、フリーアナウンサーの稲葉寿美(ひさみ)さんとジャズピアニストのMasaco 西嶋さんによる「やまのうえの朗読会」が開かれる。
オンラインサロンの会費は月額500円。