二見興玉神社(伊勢市二見町)の「夫婦(めおと)岩」の大しめ縄が5月5日、氏子らによって新しく張り替えられた。
大しめ縄は、夫婦岩の沖合約700メートル先の海中に鎮座する猿田彦大神ゆかりの「興玉神石(おきたましんせき)」、夏至の日前後に夫婦岩の真ん中から現れる「朝日・太陽」、直線距離で約200キロ以上離れる「霊峰富士山」を仰ぎみる「鳥居」の役割を果たしていると言われている。
大しめ縄の1本の長さは約35メートル、太さ約10センチ、重さ約40キロ。あらかじめ氏子らによって手作業で作られた大しめ縄5本を、毎年5月5日と9月5日、12月の3回、夫婦岩の男岩(おいわ)と女岩(めいわ)に新しく張り替える「大注連縄張(おおしめなわはり)神事」。時には強風や高潮、台風の被害を受けて切れてしまうこともあるが、その度に新しく張り替えている。
例年参拝者と共に協力しながら大しめ縄を送る作業を行っているが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、見送られた。昨年は規制していたため参拝客は誰もいなかった。この日は雨で、氏子らは滑らないように注意しながら大しめ縄を岩に取り付ける作業を行った。
同神社の金子清郎宮司は「『結び』の象徴である夫婦岩の大しめ縄が新しく掛け替えられた。『むすひ』は『生まれる』『産む』ことを意味する。常に新しいものを生み出すこと。常に新しい命を吹き込むことの大切さを古来から日本人は尊んでいる」と話す。
夫婦岩は、1918(大正7)年9月の台風によって女岩が根元から折れ、その3年後の1921(大正10)年8月に修復工事が行われ、同年10月に修復された。今年は、男岩と女岩が再び大しめ縄によって結ばれてちょうど100年になる。