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伊勢神宮月次祭に合わせ修養団で「神話を体感する会」 五十鈴川での水行も

伊勢神宮月次祭に合わせ修養団で「神話を体感する会」 五十鈴川での水行も

伊勢神宮月次祭に合わせ修養団で「神話を体感する会」 五十鈴川での水行も

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 伊勢神宮で執り行われる「月次祭(つきなみさい)」に合わせて開かれている「神話を体感する会」が12月16日・17日の2日間、「公益財団法人修養団(しゅうようだん)伊勢青少年研修センター」(伊勢市宇治今在家町、TEL 0596-25-0265)で行われた。

【その他の画像】真冬の夜の五十鈴川でみそぎを行う参加者

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 修養団は1906(明治39)年、東京師範学校(現在の東京学芸大学)に在学中の蓮沼門三(はすぬまもんぞう)を中心とする学生らによって社会教育活動を実践する団体として創立され、渋沢栄一や松下幸之助らの支援を受けて今日まで続き、今年2月に115周年を迎えた。文部科学省所管の公益財団法人で日立グループや住友グループ、豊田自動織機、東芝などの企業や松下政経塾などの組織が研修の場として活用する。本部は東京都渋谷千駄ヶ谷。

 「神話を体感する会」は、五穀豊穣、国家繁栄、国民の幸福、世界平和を祈る「三節祭(さんせつさい)」と言われる伊勢神宮の最も重要な祭典の一つ「月次祭」について学び、体感しようと津市の赤塚高仁さんが「日本人の忘れてしまっていた『魂』を呼び戻すために、古来から受け継がれた祭典を通して、神話からつながる日本を、頭で考えずに体で感じてほしい」と2007(平成19)年、当時の所長・中山靖雄さんとの出会いをきっかけに始めた会。10年続いた後、2017(平成29)年から、大人が民主主義と世の中の仕組みを学ぶ「イシキカイカク大学」などを運営するイシキカイカク(大阪府吹田市)社長の神谷宗幣さんが引き継いでいる。今回で15回目。

 北海道から九州まで全国から伊勢に集結した参加者は、「礼法・作法」について学び、大人の自分、とらわれている自分を捨て幼心に立ち返る「童心行」、伊勢神宮を流れる五十鈴川で心穏やかに集中し身を清める「水行」、心を静め自分自身と向きいあう「静座行」など、「生活即修養」「愛と汗」「思いやりの心」「感謝する心」について学ぶ修養団の研修プログラムを実践したほか、神谷さん、ジャーナリストの葛城奈海さん、Global Support Limited(香港)COOの中村公一さん、修養団講師の寺岡賢(まさる)さんらによる講義に耳を傾けた。

 毎回、月次祭の「由貴夕大御饌(ゆきのゆうべのおおみけ)」の奉観を予定するが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で2年連続中止になった。深夜から降り続いた雨は、早朝には上がり、参加者は青空の下朝日の光の中での正式参拝を行った。

 神谷さんは戦後日本の教育について疑問を呈し「自分の魂に素直に向き合い、軸を立てて行動に移そう」、葛城さんは「神武天皇から続く『八紘一宇・八紘為宇(いう)』の建国の理念、その言葉の意味を深く学べば日本がどれだけ素晴らしい国であるかを理解するはず」と。中村さんは「『融合』は共通する部分に価値を見出すのに対して、『統合』はお互いの重なり合わないところにこそ価値があり、認め合うことが互いに成長していくことになる」と国の治め方として「統一」「融合」「統合」の言葉の違いを独自の視点で説明するほか、為替レートと物価上昇率の数字から日本経済が衰退していることを示し、経済教育の必要性を訴えた。寺岡さんは「世直しは、余(自分)直しである」「今日一日を喜んで生きていこう」「苦を喜ぼう、苦をいただいていこう」「すべてを感謝し、常に喜び、絶えず祈る」「今できること、自分を整えること、祈ること」の大切さをわかりやすく説いた。

 真冬の夜の五十鈴川に首までつかる「みそぎ」を体感した参加者は、それぞれ自分自身の思いを「冷たくて余裕がなかったが川から上がるととても清々しい気持ちになった」「日本に誇りを持ち多くの人に日本の素晴らしさを知ってもらおうと強く思いながら、冷たい水を感じた」「1回目の時の衝撃は今も五感で覚えている。もう一度体感し、心を整えるために参加した」「もうしたくないと思ったのに水行の後の爽やかな気持ちを体験したくてまた参加してしまった」「伊勢から始まることの大切さを知る機会になった」と満面笑顔で答えていた。

 修養団所長の武田数宏さんは、「幸せの意味。みんなが不幸せだと言うことを僕がひとり幸せに感じている。幸せは足りないものの中にあることを僕たちは密かに気付いている。幸せを追い求めてきたけれど、幸せは僕のこの体の中にある(要約)」と滑脳症という難病で生まれてきた4歳の男の子が書いた詩を紹介。「幸せの在り方は自分の心次第。自分って何かな?日本の国って何かな?自分の役割は何かな?わかっていることをもう一度呼び戻す。そんな時期ではないかと思う。来年のみそぎは暖かい日になると思う(笑)」と締めくくった。

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