イナゴやトンボが舞う伊勢神宮の専用の水田「神宮神田」(伊勢市楠部町)で9月4日、稲を刈り取る「抜穂祭(ぬいぼさい)」が行われた。
【その他の画像】黄金色に実った伊勢神宮の専用水田で「抜穂祭」
祭典が始まる9時50分ごろ、雨が降り出し神職らは和傘を差して祭場に入る。10時に祭典が始まると雨はやみ、久邇朝尊(くにあさたか)大宮司ら神職と楠部町の住民ら約80人が見守る中、作丁(さくてい)2人が神職より授けられた鎌を持ち神田に入り、黄金色に実った稲を刈り取った。刈り取った稲を10人の作丁が、その場で稲穂だけを一本ずつ丁寧に抜き取り、麻緒(麻のひも)で2つに束ねて「抜穂」を作った。
神宮神田の総面積は約10ヘクタール、神田の作付面積は約3ヘクタール。祭典用水田の面積約862平方メートル。毎年神田では神宮の祭典で使う新米のほか餅や酒の原料用として、うるち米やもち米を作付けする。
神宮神田では、約1カ月をかけ全ての稲を刈り取り、数日間乾燥させ、内宮(ないくう)の「御稲御倉(みしねのみくら)」に150束、外宮(げくう)の「忌火屋殿(いみびやでん)」に108束を納め、10月15日に始まる「神嘗祭(かんなめさい)」で初めて神さまに新米をささげる。
神宮技師の山口剛さんは「稲は6月の大雨や先日の台風でも倒れることなく、今年も順調に育ってくれた」と話す。