天皇皇后両陛下ご列席の下、「第44回全国豊かな海づくり大会」が11月9日、阿児アリーナ(志摩市阿児町)と宿田曽漁港(南伊勢町)の2会場で行われた。
8日には、鳥羽水族館(鳥羽市鳥羽)を視察された後、宿泊先の志摩観光ホテル(志摩市阿児町)までの移動の際、近鉄鳥羽駅や賢島駅周辺では多くの国民が両陛下を一目見ようと詰めかけ、両陛下を乗せた御料車が目の前を通ると、手にした日の丸を打ち振りながら「陛下~」「雅子さま~」と声を上げ歓迎する様子が各所で見られた。
式典で天皇陛下は「幼少期に三重県を訪れた際に見た、海女(あま)の作業の様子や真珠の加工工程、緑に囲まれた青い海を船が行き交う風景は、自然豊かな海で営まれる漁業や、海とともに暮らす人々の日常が感じられるものだった。『受け継ごう 命あふれる 清い海』をテーマに行われるこの大会を契機として、人々の海や漁業への理解と関心がさらに深まり、豊かな海づくりの輪が、ここ三重県から全国へ、そして未来に向けて大きく広がっていくことを願う」とあいさつされた。
宿田曽漁港の会場では、三重県立水産高校(志摩町)の実習船「しろちどり」が停泊するそばで、谷水孝之船長が同船について、同校機関専攻科1年の八太悠翔(はったゆうと)さんが実習について、それぞれ両陛下に説明した。
港の海上には47隻の漁船が大漁旗をなびかせて整列し、三重県産のヒノキで作られた放流台に両陛下が着き、整列した漁船の前を漁法ごとで形などが違う漁船15隻、漁業調査船1隻、先導船1隻が両陛下の前を通過すると両陛下は優しく手を振り続けた。同大会の恒例行事となっている魚の放流行事では、三重県が漁獲量全国2位の伊勢エビの稚エビ、年間約200トンの漁獲量を誇るマダイの稚魚の放流が両陛下によって行われた。
この日は、海に滋養を届ける雨が降っていたが、両陛下が賢島駅に到着すると雲の間から光が差し、英虞湾全体を覆い囲むような大きな虹が現れた。