「富士山運ぶ船」が12月15日、伊勢志摩の太平洋沖、東の方角に現れた。
伊勢志摩から富士山までの直線距離は200キロ以上。冬場の気温が低く空気が澄み切った日で、水平線上に雲や障害物がない条件下で、高い確率で富士山を観測することができる。
この日の早朝の天気は晴れ。富士山の方角には雲がなく、くっきりとした稜線(りょうせん)を見せた霊峰富士が現れた。
写真は、その水平線に浮かぶ富士山の前を大型貨物船が横切った瞬間に写したもの。まるで貨物船が富士山を運んでいるように見えた。
これからさらに冷え込む1月、2月になると富士山の観測率も高くなり、水平線に浮かぶ富士山がまさに浮いたように見える蜃気楼(しんきろう)の一種で、大気光学現象によって「浮富士(うきふじ)」となる。「浮富士」を観測できるのは、鳥羽市から志摩市の一部の海岸の海抜0メートルに近い場所からで、国内では唯一。