日本の食文化を三重から世界に発信しようと活動する「伝味(でんみ)の会」(志摩市大王町)が12月18日、伊勢志摩の魅力を世界へ発信するための動画「伊勢志摩ガストロノミーツアー」完成発表会をおかげ横丁「大黒ホール」(伊勢市宇治中之切町)で行った。
「伊勢志摩ガストロノミーツアー」動画で世界へ発信 「伝味の会」
同会は、2016(平成28)年に志摩市の賢島で開催されたG7伊勢志摩サミットを機に、伝統的な味を生み出すいにしえの知恵に学び、本物の味とその背景にある食文化を守り、未来への創造を見いだせる人材育成に貢献することを目的に、2019(平成31)年4月に発足。2024年6月には「東京伝味の会」も立ち上がった。
完成した動画は、伊勢神宮のお膝元で育まれた日本の精神性、食文化、歴史を深く掘り下げ、インバウンド誘客事業につなげるための情報発信ツールをして、地域のブランド価値の向上、若手生産者、後継者のモチベーション向上などを目指す。
発表会には、同会メンバーや関係者、三重県観光部の塩野進部長や鈴木健一伊勢市長らが出席。動画には、「お伊勢牛」「元坂酒造」「南張メロン 川口農園」「かつおの天ぱく」「赤福」「御木本真珠島」「伊勢ひじき 北村物産」「海女小屋 火場」「おかげ横丁」「伊勢醤油本舗」「志摩観光ホテル」などを、同会メンバーでマレーシア育ち伊勢志摩在住、元ミス・ユニバース日本代表の加藤ゆうみさんと東京伝味の会メンバーでミシュランシェフの入江誠さんが生産者の思いや伊勢志摩の風景などをナビゲートする。約20分と約15分の2本を作成。
代表の天白幸明さんは「江戸時代の『御師(おんし)』が伊勢の魅力を全国に伝えた仕組みを現代に再現し、スマホやSNSを活用して令和の情報を世界へ発信することを目指している。単なるグルメ動画ではなく、三重県の生産者が守り続けてきた精神性や食文化、時代が変わっても揺るがない本質を伝えることに焦点をおいた。海外、特に富裕層に向け唯一無二のガストロノミーツアーを提案し、地域経済の活性化を図りたい。各エ-ジェント、観光関係者、観光庁、日本政府観光局(JNTO)などで、イベントや営業のツ-ルとして活用してもらえれば。ユーチューブやSNSでも発信していく」と説明する。
動画の中でナビゲーターを務めた加藤さんは「私はマレーシアで育ったが、三重は私の故郷。伊勢志摩の美しさ、神々が宿る土地の文化に触れ、日本に帰って来て、改めて深い感動を覚えた。多民族国家マレーシアで育った私にとって、三重で知った神道の『感謝の心』は、私の人生の大きな軸となっている。伝味の会が大切にしている、日本の味、伝統、そして思いを未来へつなぐ姿勢に心を強く打たれ、私にできることでお役に立てるよう頑張っていきたい」と話す。
天白さんは「東京伝味の会には、和食、イタリアン、フレンチ、スイ-ツ、料理研究家、レストラン評議委員など食に関係する人が多くメンバーになっている。東京チームと連携しながら、三重へのツアーを増幅させていく。現在、加藤さんを中心に、マレーシアをはじめとする海外市場への発信を強化し、伊勢志摩ガストロノミーツアーとして展開していく予定」とも。