志摩市が重点事業と位置づける「あおさプロジェクト」が順調に進行している。10月10日、同市のアオサを使った新商品の完成と、第三銀行(松阪市)が同プロジェクトに賛同し顧客サービス商品としてアオサを活用することを、同時発表した。
同プロジェクトは、全国生産の約3割を占める同市の特産品「あおさ」のPRと消費拡大、高品質で安定生産できるアオサ養殖の技術研究などを図り、アオサ養殖の総合的な振興を目指すもの。地元水産高校の生徒らと協働で「あおさアイスクリーム」の開発なども進めている。
今回、全国に16店を展開する食品の開発・販売会社「セルフィユ」(長野県小諸市)と阿児特産物開発センター(同市阿児町神明)の共同開発商品、パスタソース、ドレッシング、ディップ、スパイスの4種類の完成を発表。
「パスタソース(735円)はアオサの風味とニンニクを入れたペペロンチーノタイプ、ドレッシング(同)は、鰹と昆布の旨みを凝縮させたノンオイルタイプ。無添加のマヨネーズにチーズを加えたディップ(840円)や、アオサとイタリア産岩塩を入れたスパイス(609円)も共にアオサの香りを楽しめる商品」と同市担当職員の仲井裕子さんは説明する。
同商品は同社の16店舗と、阿児特産物開発センター、賢島宝生苑(同)、志摩マリンランド(同)で同18日に販売することが決まっている。順次販路を拡大していく予定。
一方、第三銀行は、アオサが陸上の植物と同じように光合成を行い海水中の二酸化炭素を吸収し酸素を放出する働き(乾燥アオサ1キロに対して1.1キロの二酸化炭素を吸収)があることから、アオサの消費を増やし地球温暖化に貢献できるようにと、地域振興と環境貢献の両面から同プロジェクトに賛同する。まずは顧客に対して箱詰めされたアオサをノベルティとして提供する。
同プロジェクト以外での取り組みとしても「あおさ」が注目されており、南伊勢町では4年前からアオサを利用した商品開発を目指し、アオサ入り焼酎「この空 この海 このあおさ」を11月1日から販売する。志摩市商工会では国の「小規模事業者新事業全国展開支援事業」の一環で「あおさグルメ開発事業」を立ち上げ現在、アオサジュース、アオサしょう油などの商品開発に取り組んでいる。そのほか、タラサ志摩ホテル&リゾート(鳥羽市)では1993年から販売する「あおさパン」は今でも人気商品で、インターネットからの注文に対応しているという。奥野食品(松阪市)はアオサと納豆の味噌汁「東京納豆汁」を今年から販売を開始している。
同市は「全国生産の6割を三重県が占め、その内の3割を志摩市で生産する『あおさ』に注目し、さらなる民間活力の導入を促し、健康にも環境にも優しい食品として『アオサブーム』を作りたい」と意欲を見せる。