公益社団法人伊勢志摩観光コンベンション機構(以下「本機構」)は、令和7年度伊勢志摩及び周辺地域における高付加価値旅行者向け事業として「iseshima connect プロジェクト」を立ち上げました。本事業は、伊勢志摩への高付加価値旅行者を含んだインバウンド(以下「インバウンド」)の誘致を通した地域経済の活性化と持続可能な発展を目的とし、新しい観光プラン・体験コンテンツの開発や地域連携・人材交流の推進、国内外に向けた情報発信の強化等を行っています。今回、プロジェクトの進捗・データ・今後の動きについて発表いたします。
・公式HP: https://traveliseshima.com

1月にサンディエゴで開催されたイベントの様子
「iseshima connect プロジェクト」は、伊勢志摩の歴史・自然・文化・人々の営みを一貫したストーリーとして再編集し、旅行者、特にインバウンドがより深く地域の価値を体験できる仕組みの整備を目的として、立ち上がりました。
*プロジェクト発足時のリリースはこちら:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000148585.html
本年度は、延べ224人の参加者とともに、共創ワークショップ「脳動ゼミナール」を進行してまいりました。伊勢志摩、名古屋、東京の3拠点での開催となり、真珠加工・小売やガイドなど伊勢志摩を拠点に活躍する方々だけでなく、IT、メディア、イベント、建築、コミュニティづくり等の分野で名古屋・東京を拠点に活躍する方々など、多種多様な業種から様々なスキルを持った方に参加いただきました。
講師には、3代目漁師や5代目の旅館経営者、海外から三重に拠点を移した研究者やミュージシャン、ALT、世界を飛び回る多拠点生活者など、多彩なメンバーが登壇しました。

脳動ゼミナール(伊勢志摩会場)の様子
2026年1月17日(土)には、合同成果発表会を実施しました。当日は、「脳動ゼミナール」の参加を通じて、7名が伊勢志摩における共創アクションを発表しました。また、東京や名古屋会場の参加者向けに、地元事業者らの伊勢志摩の未来に向けたアクションを学ぶことのできる「iseshima connect ツアー」も開催し、おはらい町を中心に今のまちづくりを視察しました。これら共創ワークショップを通じ、個々人のポテンシャルやキャリアを具体化させ、どのように伊勢志摩と関わり、発展させていくかを考えるきっかけをつくりたいと考えています。
また、本機構では、観光業の更なる高付加価値化と持続的な経済循環の創出に向けて、観光業とは異なる業種とのコラボレーションとして、神棚の製造会社や擬革紙の職人等と体験コンテンツの造成を進めてまいりました。
「脳動ゼミナール」や体験コンテンツの造成のように、本プロジェクトでは、単なる観光振興にとどまらず、積極的に異業種も交えた地域との連携を重視し、これまでの観光地づくりとは異なるアプローチを図ってまいりました。地域の滞在価値の磨き上げと持続的な経済循環を生み出すためにも、引き続き、異業種連携や他地域人材との共創を推進するとともに、伊勢志摩における新たな観光ビジネスの創出の基盤を整備してまいります。
※「脳動ゼミナール」とは:
三重県や地域プロジェクトに興味・関心がある方を対象に、実際に地域ビジネスやコミュニティ活性化等に関わる仕掛人たちから学び、気づきを得ることにより、新たなプロジェクトの創出につなげていくことを目的とした講座。2024年に三重県の首都圏営業拠点「三重テラス」で開催し、延べ300名超が参加。
10月には、米国サンディエゴ「Japanese Friendship Garden」において真珠や木工のワークショップと展示イベント、また、米国の社交クラブ「Univercity club Sandiego」においてラグジュアリー向けに食をテーマにしたディナーイベント、そして、シンガポールにおいてラグジュアリー旅行会社を対象にしたネットワーキングイベントを開催し、国外への伊勢志摩のブランド発信を強化してまいりました。米国の同クラブにおけるディナーイベントでは、志摩観光ホテルの樋口宏江総料理長や海女の林喜美代さんによるプレゼンテーションの完成度を高く評価され、海女文化や地域の歴史・文化への理解の深まる有意義な時間だったとポジティブなコメントのほか、伊勢志摩へ旅行するにあたって旅行会社を紹介してほしいなど、具体的な旅行に向けた要望を受けました。

1月にサンディエゴで開催されたイベントの様子
さらに、2025年10月27日、28日の日程で、同クラブのダン・ホム名誉会長が伊勢志摩を訪問しました。2026年1月8日(木)には、同クラブの旅行コミュニティ(Travel club)の主催で、ダン氏が伊勢志摩の旅行記を紹介するイベントが開催され、在サンディエゴ日本国名誉領事のケイト・レナード氏ら政財界から約40名が出席しました。伊勢志摩からは、地元ガイドがイベントに登壇するなど、具体的な伊勢志摩の紹介もされることへの期待から、イベントは約20名のキャンセル待ちが発生し、伊勢志摩への関心の高さが伺えました。
実際に、国外からのインバウンドの誘致に向けた視察ツアー(ファムトリップ)の受入数は増加傾向にあり、コロナ禍の2022年の17社と比較すると2024年は61社の358%となっています。特に、2025年度における視察ツアーの受入は、12月末時点で既に59社にのぼり、海外で実施されるラグジュアリー旅行会社向けの商談会(ILTM等)への参加や、海外に拠点を持つ旅行会社へのセールス等による継続した関係構築も、誘致に強く影響しています。

伊勢志摩地域における視察ツアー(ファムトリップ)の受入推移
また、訪日外国人消費動向調査(観光庁調べ)によれば、伊勢志摩を訪れるインバウンド旅行者数やその滞在期間の伸びが見られるほか、一人当たりの消費単価が前年比41.8%増の49,194円(2024年)といった結果を確認できます。

伊勢志摩地域におけるインバウンドの平均泊数と訪問者の推移
さらに、高付加価値旅行者を受け入れる伊勢志摩管内の宿泊施設を対象としたアンケート調査において、同旅行者の数・消費単価・売上のいずれも増加(2023年と比較した2024年の状況)したという回答が6割程度を占めることから、訪日外国人消費動向調査と同様の傾向が見受けられます。
一方で、多様な自然や歴史文化等の資源を持ちながらも、宿泊者に占めるインバウンドの割合はわずか約2%にとどまっています。今後は、このインバウンドの割合について10%を目標に掲げ、さらなるインバウンドの受入体制を整える必要があります。その上で、これまで長く日本人に愛されてきた伊勢志摩として、インバウンドの急増によるオーバーツーリズムの発生を回避し、「地域住民と来訪者とが『共存』する持続可能な地域づくり」を実現するために、この割合を15%以内に収めることが望ましいとも考えております。
オーバーツーリズムを抑止しつつも、伊勢志摩の有する高い価値をインバウンドが理解し、より快適に滞在できるような地域づくりをめざし、交通や宿泊、旅コンテンツやガイドなど多岐にわたるサービスの拡充を行ってまいりました。特に2025年は、全国で初めて観光地域づくり法人(DMO)主体でインバウンド向けタクシーサービス基準等の策定や、増加するインバウンドに向けたガイド育成ワークショップの実施等を通し、提供する体験サービス水準の全体的な向上を狙いました。
タクシーアプリの活用が進み、英語対応やキャッシュレス決済が普及し、利便性が向上する一方で、地域ごとの統一基準が設けられておらず、対応品質は、個々のタクシー事業者や乗務員に依存している状況にあります。
このような背景を踏まえ、地元タクシー事業者3社とともに、インバウンド向けタクシーサービス基準とそれを基にしたガイドラインを策定し、2026年2月に公表予定です。具体的には、本機構がターゲットとするインバウンドの特性、伊勢志摩の地域価値の理解、その地域価値を伝えるためのコミュニケーション手法、そして接遇・案内・運転等の乗務スキルの4項目を設けます。2月には、地元タクシー事業者のマネージャーや乗務員に向けた説明も行う予定です。地域全体での滞在価値の底上げを狙い、インバウンドが快適に観光を楽しめる環境の拡充を目指します。このように、観光地域づくり法人(DMO)主体で、タクシーサービスに特化したインバウンド向けサービス基準等を策定することは、全国初となります。
多言語対応や地域の知識を備えるだけでなく、多様な文化的背景を有するインバウンドの興味・関心に合わせて、柔軟なご案内を実践できるガイド人材が求められている中で、伊勢志摩でもその歴史や文化、人の営み等の魅力をしっかりと伝えられる人材の育成を2024年から継続して強化しています。

ガイド育成研修の様子
今年度は、ガイド育成研修の募集に対し29名の応募があり、16名を選考し、実践を中心としたガイド育成研修を2025年7月から10月まで開催しました。プログラムとして、コミュニケーションや異文化理解等の基本研修、知識習得を目的としたフィールドワーク研修、現役ガイドのツアー体験を通した手法研修、そして受講生が実際に現役ガイドをゲストに案内を行う実践研修を実施しました。
2026年2月上旬には、最終的に選抜した2名が、ラグジュアリーなインバウンド旅行を取り扱う旅行会社の担当者をゲストとして、伊勢志摩を2日間案内するモニターツアーを実施する予定です。
伊勢志摩では、これまでインバウンド向けの公式ブランドブックがありませんでした。新たに伊勢志摩の魅力を1冊にまとめあげ、訪れた人が伊勢志摩の歴史や文化、人の営みをより深く理解し、味わいながら旅行を享受できるようなコンテンツを用意しました。
タグラインとなる?A place of natural beauty, ancient rituals and timeless cycles forever renewing.”を意識し、伊勢志摩の自然環境と循環をフックにして、伊勢神宮の成り立ちや行事について、また里海をテーマに英虞湾で行われている真珠養殖や海女漁等を取り上げ、海を中心にした産業と文化を紹介しています。それ以外にも、伊勢志摩のグルメや体験等を紹介しています。

ファクトブック表紙

ファクトブック紙面(伊勢神宮の紹介ページ)

ファクトブック紙面(里海の紹介ページ)

ファクトブック紙面(体験・アクセス紹介ページ)
<iseshima connect プロジェクトとは>
本プロジェクトでは、伊勢志摩の歴史・自然・文化・人々の営みを一貫したストーリーとして再編集し、旅行者がより深く地域の価値を体験できる仕組みを整備します。
全国各地で観光促進のプロジェクトが推進されている中、本プロジェクトは、地域住民や自治体、地元企業と連携し、単なる観光振興にとどまらず積極的に異業種も交えることで、これまでの観光地づくりとは異なるアプローチを図ります。宿泊、飲食、交通といった観光消費の拡大だけでなく、地域事業者の新しい連携や雇用の創出につながり、持続可能な観光地づくりのモデルとなることを目指しています。
特徴的な取組として、観光を軸に、漁業者・加工業者・土産店の連携による地域経済循環の促進に向けた実証や、宿泊施設の経営力強化支援、異業種との協働を促す「脳動ゼミナール」の開催、高付加価値ガイドの育成等を通じて、地域の魅力向上と雇用創出を図ります。これらの施策は、観光を軸にしながらも、「地域経済」・「人材育成」・「事業者連携」を包括的に支える取組群として機能しており、今後の地域観光経営の新たなモデルケースとなることが期待されます。
公益社団法人 伊勢志摩観光コンベンション機構
公益社団法人伊勢志摩観光コンベンション機構は行政区域の枠を超えた伊勢志摩広域で、かつ官民が一体となってさまざまな観光振興事業を展開することで、地域経済の活性化及び文化の向上に寄与することを目的としています。
・観光情報の発信事業
・観光客及びコンベンションの誘致促進及び受入体制の整備に関する事業
・インバウンド推進事業、伊勢志摩情報発信プロモーション事業、MICE誘致事業、誘客促進事業
・観光情報の調査研究及び観光客の満足度の向上に関する事業
・観光産業及び観光文化の振興と人材の育成に関する事業
・伊勢志摩フィルムコミッション事業
・伊勢志摩学生団体誘致委員会