10月16日に公開され、全国の映画館で上映中の映画「桜田門外ノ変」(配給=東映)の音楽全編を伊勢出身の長岡成貢さんが担当した。
映画「桜田門外ノ変」(C)2010『桜田門外ノ変』製作委員会
長岡さんは、昨年大ヒットしたテレビドラマ「JIN-仁-(じん)」(TBS系)や、ベルリン・国際映画祭ワールドプレミア上映映画「白銀帝国」の音楽を担当し、内外からの高い評価を得る作曲家・音楽プロデューサー。そのほか、中島美嘉、EXILE、SMAP、CHEMISTRY、MISIAなど人気アーティストのプロデュース、アレンジ、リミックスなども手掛ける。一方、地元多気郡明和町で「組曲 斎宮(いつきのみや)物語」を作曲、その一部が伝統舞踊「斎宮(いつき)の舞」として脈々と踊り伝わっている。
同作品は、安政7年3月3日(新暦1860年3月24日)雪の日、江戸城桜田門外で大老・井伊直弼が暗殺された歴史的事件「桜田門外の変」を題材にした吉村昭さんの小説「桜田門外ノ変」を原作に、「男たちの大和/YAMATO」(2005年、配給=東映)の巨匠・佐藤純彌監督がメガホンを取った。襲撃を指揮した無名の水戸藩士、大沢たかおさん演じる関鉄之介の視点から、幕末の日本に多大な影響を与えた歴史的事実を映画化したもの。井伊直弼役を伊武雅刀さん、徳川斉昭役を北大路欣也さん、鉄之介の妻役を長谷川京子さんらが演じる。
長岡さんは「現代解釈的な音楽ではなく、子どものころに観た僕の中の古き良き日本映画というイメージの音楽を作りたいと思った」と話す。主題歌の「悲しみは雪に眠る」(作詞=伊勢正三さん、歌=alanさん、レーベル=avex trax)については、「50代以降の大人世代の耳、心に届くメロディー、口ずさめる曲を――と思った」とも。
同作品音楽プロデューサーの池畑伸人さんは「これまでの映画音楽は、主題歌と映画がそれぞれ別の次元で作られていたものが多かったが、この映画は最初から長岡さんがすべての音楽をイメージして作り上げて完成させた。映画の中で主題歌のメロディーが所々にちりばめられ、エンディングでワンシーンワンシーンがフラッシュバックするような演出に仕上げた。オーケストラ音楽から時代劇音楽などスケールのある曲作りができ、さらにJ-POPなどのヒット曲を連発させる長岡さんだからこそできた」と振り返る。