グーグルマップでもクッキリと真円に見える田んぼ「長谷(はせ)の車田」(多気郡多気町長谷)の「収穫祭」が9月10日、地域おこしグループ「一八会」(同)らによって開催された。
仁和元(885)年に光孝天皇の勅願所として建立された真言宗山階派の「近長谷寺(きんちょうこくじ)」(同)の本尊「十一面観音立像」は平安後期に作られたとされる像高6.6メートルの木造立像で、1913(大正2)年に国の重要文化財に指定された。10種類の現世での利益「十種勝利」と4種類の来世での果報「四種功徳」をもたらすと伝わる。
半径11メートル、約3.8アールの同水田は1998年、同会代表の逵(つじ)昭夫さん所有の水田を1枚の車田に変え、稲作文化継承とまちおこしを目的に米作りを開始。半径11メートルは、「十一面観音立像」の「11」にちなんだ。グーグルマップの写真で確認できる車田は、稲が青く育った初夏に撮影されたものと推定される。現在円形の車の車輪のように植える水田は、新潟県佐渡市と岐阜県高山市に残るだけとなっている。
今年5月に手植えで植えたもち米「カグラモチ」の苗が、すくすく育ち稲穂を垂れ茶色に変色した。この日は、同会のメンバーと佐奈小学校の児童4人計15人が手刈りの稲刈り作業を行った。
5月の田植えにも参加し今回も参加した佐奈小学校4年生の坂本光さんは「(4回目の稲刈りで作業が慣れていたので)カマで刈るのが楽しかった」とほほ笑んだ。毎年作業に参加する久保行央町長は「3月の大地震・大津波、先日の台風など自然には怖さもあるが、豊かな恵みも与えてくれる。自然に対して畏敬の念を持ち、自然の恵みに感謝しなければいけない」とかみしめた。
車田の中心部の稲穂は、初穂として伊勢神宮に奉納し、収穫した米は、「佐那神社」(仁田)と「近長谷寺」に奉納する。昨年は約150キロを収穫した。