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熊野古道の世界遺産登録に貢献した地域文化誌「伊勢人」創刊30周年

熊野古道の三重県側世界遺産登録にも貢献した地域文化誌「伊勢人」創刊30周年、記念号を手にする中村賢一代表

熊野古道の三重県側世界遺産登録にも貢献した地域文化誌「伊勢人」創刊30周年、記念号を手にする中村賢一代表

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 三重県の文化を掘り起こし発信する伊勢文化舎(伊勢市神田久志本町)が10月7日、雑誌「伊勢人(いせびと)」の創刊30周年を記念した160号記念号を発行した。価格=840円。

世界遺産「熊野古道」の三重県側登録に貢献した小冊子

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 「熊野古道」「式年遷宮」「伊勢春慶」「伊勢神宮125社」「伊勢講」「真珠王 御木本幸吉」「映画監督 小津安二郎」「天性の詩人 竹内浩三」「エスサイダー」…など、同社が光を当て、地域の文化が掘り起こされた事例は枚挙にいとまがない。

 1981(昭和56)年に旅の雑誌として発行されたB5判サイズの「伊勢志摩」は、1999(平成11)年116号まで続いた。旅雑誌から次第に地域の文化を特集し掲載するようになり、2000(平成12)年に地域文化誌として「伊勢人」と改名、誌面をA4判にサイズアップし117号を発行した。158号まで発行を続けたが2007(平成19)年の夏、あえなく休刊。昨年臨時号として159号を発行し、今年30周年を迎えちょうど通算160号に達した。160号では地域をつなぐ、伝える人をフィーチャー、「伊勢人30人のメッセージ」と題して特集を組んだ。

 代表の中村賢一さんは「『伊勢志摩』創刊は、旅行ガイドブックや旅雑誌などを見ていて、地元ならではの情報を集めもっと旅人と地元を結ぶことができるのでは――と思ったことがきっかけ。その後、御木本幸吉や松尾芭蕉、伊勢神宮や熊野街道などを特集するようになり地域の文化に光を当てる必要を感じ地域文化誌として『伊勢人』の発行へ移行していった」と話す。

 「64号で特集した時のタイトルは『熊野古道』ではなく『熊野街道の旅』となっている。107号で『熊野古道を歩く』となった。三重・和歌山・奈良の3県にまたがる『紀伊山地の霊場と参詣道(熊野古道)』が2004年7月、ユネスコ世界遺産に登録されたが、当時和歌山や奈良の盛り上がりに比べると三重はそれほどではなかった」と当時を振り返る。みえ熊野学研究会委員長の小倉肇(はじむ)さんは「三重県側の世界遺産指定には同社の協力がなければ実現しなかった」と誌面でコメントを残している。

 完全に途絶えてしまった生活雑器「伊勢春慶」は同誌がきっかけとなり再生された。築110年の古民家を改修し「伊勢春慶デザイン工房」(河崎)がオープン、塗り師の養成とPRの拠点が完成した。1999年には1日も欠かすことなく1年間夫婦岩を撮影する「夫婦岩365」プロジェクトを立ち上げた。地元カメラマン6人と同社と二見町の官民協働のプロジェクトで、雨の日も風の日も毎日それぞれが交代で夫婦岩を撮影し写真集「夫婦岩の四季」に仕上げた。

 中村さんは「2013(平成25)年には伊勢神宮の式年遷宮がまたやってくる。地元発の遷宮を伝えていきたい」と意欲を見せる。

 10月20日~30日までの期間、「『ふるさとをつなぐ、伝える』地域誌の歩み」企画展がおかげ横丁(宇治中之切町)大黒ホールで開催される。これまでのバックナンバーや30年間撮り続けた写真などを展示する。

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