三重県立水産高校(志摩市志摩町和具)の水産製造・増殖科の生徒15人が現在、真珠の養殖技術の勉強以外に、パールアクセサリーのデザインや加工技術を学んでいる。「地場産業に光が当たる」と真珠関係者の期待も大きい。
同科には、水産物の製造・加工を学ぶ「製造系」と魚介類の養殖技術を学ぶ「増殖系(魚類)」のほか、真珠のジュエリーやアクセサリーをデザインし加工する「増殖系(宝飾)」の3つがあり、それぞれ専門知識を学んでいる。
同校は、県内唯一の水産高校として1902(明治35)年創立。同科のほか、水産、海洋、船舶について学ぶ「海洋科」、船舶の機関技術などを学ぶ「機関科」がある。真珠養殖盛んな英虞湾の中央に立地し校舎や校庭、グラウンドは海に囲まれている。
同科では、地場産業でもある真珠養殖の振興を図りながら、宝飾品としての真珠を加工し製品として完成させるまでの工程などを学習。ワックスを削ったり鋳造したりする機械、CADデータから金型を起こし加工する設備なども充実させる。11月16日には、志摩市役所でパールアクセサリーの加工や生徒の作品を展示するなどした公開授業を行った。
担当の筒井努教諭は「これまで真珠について生物学的なことを中心に教えてきたが、実際に市場に流通し小売店で販売されている宝飾品としてのパールアクセサリーを自分たちが作れるようになることも重要と認識し、10年ほど前から授業に取り入れている。生徒の中からジュエリーデザイナーが出れば」と期待を込める。
曽祖父が真珠養殖黎明(れいめい)期に真珠養殖事業で成功したという同科3年の西川華菜さんは「この授業はとても好き。できたアクセサリーは気に入っているので普段でも身に着けている」と自身が作ったアクセサリーを披露してくれた。「地元で宝飾デザインの仕事があればやってみたい」とも。