12月1日に発売された三重の季刊ローカル誌「NAGI凪(なぎ)」47号(冬号)が、特集で「幕末の探検家」「北海道の名付け親」などと呼ばれ称される三重県出身の「松浦武四郎」を取り上げている。発行は「月兎舎(げっとしゃ)」(伊勢市馬瀬町)。
松浦武四郎(1818~1888年)は、松阪市(旧・伊勢国一志郡須川村)出身。個人で3度、1845年(27歳)に函館から太平洋側の海岸線を歩き知床岬まで、1846年(29歳)に江差から日本海側の海岸線を歩き宗谷からカラフト(今のサハリン)南部、オホーツク海側の海岸線を知床岬まで歩き、北海道の海岸線をほぼ全てを踏破、1849年(32歳)に函館から船に乗り国後島、択捉島を調査。「初航蝦夷日誌」(全12冊)、「再航蝦夷日誌」(全14冊)、「三航蝦夷日誌」(全8冊)をまとめる。その後幕府の役人として1856年(39歳)、1857年(40歳)、1858年(41歳)に3度の探検・調査を重ね、生涯6度蝦夷(えぞ)地を訪れ、幕末に同地の現状を広く伝えた。
同誌では、「幕末の探検家」「北海道の名付け親」と呼ばれる由縁、「馬角斎(ばかくさい)」の名に秘める話、北海道の名前についての逸話、北海道に50カ所もの松浦武四郎の記念碑や銅像が立っていることなどを紹介する。
同社代表の吉川和之さんは「松前藩や明治政府に盾突いても、アイヌの人権を尊重し、その文化をリスペクトした武四郎の生き方は、坂本龍馬ら幕末の志士とも通じるものがある。ふるさと三重の誇りとして再評価につながるきっかけになれば」と話す。
価格は670円。三重県内の主要書店、道の駅などで販売するほか、同号から全国の書店でも扱う。