二見興玉神社(伊勢市二見町)の夫婦岩の間から12月10日、青い満月が現れ、月の光で空と海が青く染まった。
夫婦岩の間から朝日が出るのは、4月~8月の期間だけ。特に夏至の日には富士山と太陽が重なる可能性があるため近年、撮影スポットとして人気が高いが、冬至前後の11月~2月の満月が同じように夫婦岩の間から出ることは、まだあまり知られていない。
古来より夫婦岩としめ縄は、沖合700メートルの海底に沈む猿田彦大神ゆかりの「興玉神石(おきたましんせき)」を、その間から出る太陽を、そして直線距離で約200キロの位置にある日本一の霊峰富士を祭る鳥居と考えられてきた。
この日の月の出時刻は16時25分。水平線のすぐ上にうっすらと雲がかかっていたため予定時間になっても月の姿が現れなかった。
16時43分、一人のカメラマンが「出た」と叫ぶとカメラのシャッター音が一斉に鳴り響いた。たまたま訪れた参拝者は「何を撮っているの?」「月食?」「夕日?」などと首を傾げながらレンズの向かう方向を見ながら足を止めていたが、親切なカメラマンが月の出を撮影していることを説明すると目を凝らしながら満月を探していた。
17時5分、夫婦岩の間から現れた満月が、青い光を放ち空と海を青く照らし、月の青白い光が揺らぎながら自分に向かうムーンリバーを作った。
今夜、赤い満月になる皆既月食が23時5分ごろから23時58分ごろまで日本全域で観測できる。昨年の12月21日は、月の出と同時に皆既月食が始まることから約500人のカメラマンと参拝者が同境内に詰めかけたが、あいにく雲が厚く見ることができなかった。
明日以降の月の出時刻は、11日が17時18分、12日が18時15分、13日が19時15分、14日が20時16分、来年1月7日が15時9分、8日が16時5分、9日が17時4分、10日が18時7分、11日が19時11分となっている。11日は、高さ約9メートルの男岩と高さ約4メートルの女岩に長さ35メートルの大注連縄5本を張り替える「大注連縄張神事」が執り行われる。