伊勢・松尾観音寺の床板の竜-「なで竜」の名で親しまれ、さらに際立つ

伊勢・松尾観音寺の床板の竜-「なで竜」の名で親しまれ、さらに際立つ

伊勢・松尾観音寺の床板の竜-「なで竜」の名で親しまれ、さらに際立つ

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 龍池山・松尾観音寺(伊勢市楠部町)の総ケヤキ造りの本堂の床板に突如現れた「竜」が辰(たつ)年の今年、さらに際立ち話題になっている。

2008年当時の松尾観音寺の「床板竜」

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 高僧・行基(668~749)が712年に創建したとされる同寺は今年、開山1300年を迎える。本尊は行基自らが作ったとされる十一面観世音菩薩(ぼさつ)。1403年に本堂が火災で燃えた際、本堂裏の「二つ池」から2体の竜が現れ、雄竜が炎の中に飛び込み十一面観世音菩薩を体で巻き付け救い、雌竜が何度も池の水を吹きかけ消火したという竜神伝説を持つ。

 「竜のうろこ」と伝えられている亀の甲羅ほどの大きさのものが本尊の下に安置され、本堂の天井には「竜の通り道」だといわれ天井板が1枚だけ外してある。閉めても必ず開くという。

 このように竜神伝説が数多く残る同寺だが、さらに本堂床板に「竜神様」が現れた。「『竜神様』は7年前に床板を張り替えたところ、その2年後に参拝者から木の節が幅10センチのケヤキ板2枚にまたがり、目と鼻、角などに見え『昇竜』のように見えると指摘された。その後床板に『竜神様』が現れたと話題になり全国から参拝者が訪れるようになった。今では、なでるとご利益があると口コミで広がり『なで竜』とも呼ばれるようになった。蛇のように長い胴体の蛇腹模様が雲に隠れて空を飛んでいるように見えるという人もいる」と、同寺の木造(こつくり)隆誠住職は説明する。

 木造住職は「約20年前、消防の点検で屋根裏に登った担当者が知らずに天井板を完全に閉めてしまったが、次の朝天井を確認するとその天井板が動き開いていたことがあった。今は全開になっている。本堂でお勤めをしていると線香の煙が、竜がとぐろを巻いたように渦を巻いて上昇する自然現象にも何度も遭遇する」と自身の竜にまつわる不思議な体験談も披露。

 現在同寺では座禅などが行う「参籠堂(さんろうどう)」の今夏落慶を目指し、同堂の屋根瓦(1,000円)の寄進を受け付けている。11月18日には、同寺開山1300年記念大法要を行う。

 東日本大震災発生後、陸前高田市や石巻市を計6回(延べ30日)、被災者の供養や炊き出し活動で訪れている木造住職は「震災後、参籠堂の建設を自粛し遅らせようとも考えたが、世話人らの勧めで昇竜のような勢いを周り(社会)に示してほしい――。との意見から計画通りに実施することにした」と打ち明ける。「震災後、自分のことよりも自分以外の人を思いやり祈願する人が増えた。人それぞれに役割がありその役割を一生懸命全うすることで周りが、社会が、国が良くなっていくのだと思う。辰年にあたり昇竜のごとく、上向きに好転していくように祈りたい」とも。

 同寺本堂の開門は8時~17時。

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