「家帰ったらポストにナマコが入っとった…。親戚のおじやん、ポストの使い方よくわかっとるわ!」と志摩市大王町波切(なきり)に住む石野隆博さんがフェイスブックに写真をアップした。自宅の郵便ポストに取れたての新鮮なナマコが入っていたのだ。
一家でアオサの養殖を手がける石野さんは「波切では正しいポストの使い方。ちょうど寒くなるこの時期の赤ナマコが最高に柔らかくておいしいから、真珠養殖を営むおじさんがおすそ分けしてくれた」と説明する。
地場産業の真珠養殖から出る副産物でもある真珠貝の貝柱は12月から1月ごろ、そのほかヒジキ、ワカメ、メカブなど旬になると留守中にポストに入れてくれるという。「逆に自分もよそのポストに入れたこともある(笑)」とも。
近所に民家はほとんどないが住民ならおばあちゃんから子どもまでみんな顔見知りだという石野さん。「志摩の漁師町では結構当たり前で驚くことではない、志摩のよくある風景」と断言する。「ただし、夏場に海産物をポストに入れる人は誰もいない(笑)」と付け加える。
志摩市は水産資源の生息状況を調査し資源の増産の知見とするため、2012年度予算で「ナマコ」の水産資源調査事業費に63万円を盛った。