伊勢神宮外宮・勾玉(まがたま)池のほとりに 4月7日、「式年遷宮記念 せんぐう館」(伊勢市豊川町、TEL 0596-22-6263)が開館した。
来年10月に執り行われる第62回式年遷宮を記念して建てられた同館は、20年に一度の「式年遷宮」を伝えていくことを目的に、「形」ではない、伊勢神宮の目に見えないところでもある「精神」と「匠の技」についてわかりやすく展示。地上1階・地下1階の鉄筋コンクリート構造+鉄骨造りで資料館、休憩舎、奉納舞台で構成、総工費は約25億円。
エントランス正面には、1953(昭和28)年の第59回式年遷宮で新しく取り付けられ、年間5回しか開かないといわれる外宮正殿の御扉(みとびら)が展示。200インチのスクリーンが設置された「遷宮シアター」では、ハイビジョン映像で「おまつり」「御装束神宝調製」「新宮造営」など多角的視点から神宮式年遷宮を、そのほか、稲作文化の国「瑞穂の国」、「神宮式年遷宮」の歴史と概要について紹介する。さらに匠たちの技術や心意気を伝える「永遠の匠たち」のコーナーでは、同館のメーン展示でもある原寸大の大きさの東側(正殿に向かって右側)4分の1模型の「外宮正殿」を展示する。
開館時間前から長い行列に並び待っていた神戸市在住の船曳兼滋さんと順子さん夫婦は「毎月必ず神宮へ参拝しに来ているが、今日はせんぐう館の開館日で妻の誕生日とも重なったため記念にやってきた。展示物を見るのが今から待ち遠しい」と笑顔で話す。展示物を見た一般客は一様に感動し、メーン展示の前では誰もがその壮大さに驚いた様子だった。併設された奉納舞台では、神宮奉仕会による「木遣り」の奉納があった。
同館学芸員の深田一郎さんは「同館開館の意義は、式年遷宮を伝えること、外宮周辺、伊勢地域の活性化ともう一方で、目に見えない心や技術を20年後、40年後に伝えていくこと」と説明。「後世に伝える方法としては紙と筆に勝るものはないと思うが、利便性、速報性など総合的に判断し、『デジタル化』し保存することを重視している」と付け加える。
同館入館者には、4月7、8日=先着500人、14、15日=先着200人に伊勢茶道協会から干菓子と抹茶のサービスがある。
開館時間は9時~16時30分。第4火曜休館。入館料は、高校生以上=300円、小中学生=100円。