伊勢の地ビール「伊勢角屋麦酒」を製造販売する二軒茶屋餅角屋本店(伊勢市神久6、TEL 0596-21-3108)が7月20日、新商品「伊勢ピルスナー」350ミリリットル缶(300円)の販売を開始した。
「伊勢角屋麦酒」の新商品「伊勢ピルスナー」350ミリリットル缶
「伊勢角屋麦酒」は、1997年に同社21代目に当たる鈴木成宗社長が立ち上げた地ビールブランド。同ビールの「ペールエール」が2002年ジャパンビアカップ(日本地ビール協会主催)で金賞、2003年オーストラリア国際大会で金賞を受賞、明治10年代に伊勢河崎で製造していたと言われる幻のビールを復刻させ「できる限り忠実に、おいしく、低価格」をコンセプトに完成させた「神都麥酒(しんとびーる)」(2004年発売)がジャパンビアカップのアメリカンエール部門で3年連続金賞を受賞するなど数々のメダルを獲得。多くのクラフトビールファンからも高い評価を得て、「伊勢角(いせかど)ビール」の名で親しまれている。
同商品は「より多くの人に地ビールの味を楽しんでもらおう」と約半年前に開発プロジェクトを立ち上げ、試作を重ね、ピルスナースタイル(ラガータイプ)の味に仕上げた。ピルスナーとは、チェコのピルゼン地方を発祥とするビールスタイルの一種で、低温でじっくり発酵される下面発酵で製造され、淡色のスッキリとした味わいとさわやかな苦味が特徴のビール。日本を含め世界中で製造されるほとんどのビールがこのタイプに当たる。
パッケージデザインは、黄金色の色合いをベースに、背景に昭和61年に伊勢市の天然記念物に指定された「お屋根桜(オヤネザクラ)」を配した。「お屋根桜」は、ヤマザクラの新品種で伊勢にしか存在しない珍種。「伊勢で名所は、二見に朝熊(あさま)、お屋根桜に五十鈴川」と木遣り唄の歌詞になるほど、300年以上も伊勢の人々に親しまれている。
鈴木社長は「グラスに注いだ時の澄んだ黄金色ときめの細かい泡、心地よい爽やかなホップの香り、一口飲むと重すぎることのない程よいコクと上品でやや控えめな苦味、最後にスッキリとのど越しのよい爽快感が特徴」と説明する。「飲みやすさを追求すると、大手メーカーのものとの違いが出せなくなるので『地ビールさ』を出すのに苦労した」と打ち明ける。
販売は、「神都麦酒」とほぼ同じルートで、伊勢志摩エリア限定。鈴木さんは「まだ十分販売先にまで行き渡っていないかも知れないが、順次販売ルートも拡大予定。伊勢志摩に来ていただいて、味わっていただきたい」とアピールする。