「三重の祭りを撮るのが僕のライフワーク」と話すのは伊勢市出身の写真家・阪本博文さん。阪本さんの写真展「海神饗宴(かいじんきょうえん)~三重の海の祭り」が9月28日、海の博物館(鳥羽市浦村町)で始まった。
阪本さんは「『祭り』を撮り出したのは前回の伊勢神宮遷宮の御用材を運ぶ『お木曳(おきひき)』に参加してから。人々の中に代々受け継がれていく『祭り』に魅力を感じ、もっと他の地域の祭りも撮ってみたいと思った」と、きっかけを話す。
同展では、2003年7月から今年の8月までに撮った77点と、神島(鳥羽市神島町)に伝わる祭り「御供上げ(ごくあげ)」をわかりやすく解説する写真23点、計100点の「海の祭り」を展示する。ガイドブックにも登場する『有名な』祭りから、情報もなく地元でも知られていないような小さな祭りまでを網羅する。
阪本さんは「多くの祭りが盆や正月に行われるため、移動も大変。大みそかの夜に志摩市船越の『ととつりあい』を撮影すると、すぐ尾鷲市まで車を走らせ元旦早朝に九木浦の『ニラクラ』を、続いて古江港の『ギッチョ』を撮影。少し仮眠をとってから再び志摩市まで安乗(あのり)の『三棚神事』、立神の『ひっぽろ神事』と車を走らせる」と苦労話を披露する。
「人々が集まって何かをする。楽しく、つながりを持って行う。毎年きちんと伝えている。祭りの日は、とにかくみんな元気で上機嫌。しかしながら、近年は若い者がいなくなったことが原因で、祭りそのものが休止になるケースも多くなり寂しい限り。この写真展には、いつまでも祭りが続くように、途絶えることのないように――という思いを込めた」と熱く語る。
11月3日13時30分~15時30分にはシンポジウム「三重の海の祭りを語る」と題したイベントを、同館映像ホールで予定する。阪本さんのほか、エッセイストでテレビのディレクターを務める福島礼子さん、皇学館大学講師で芸能史研究者の前田憲司さんをパネリストに迎え、同館の石原義剛館長がコーディネーターとなりパネルディスカッションを繰り広げる(要事前予約)。
入館料は、大人=800円、小中高生=400円。2013年1月14日まで。