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志摩の海女たちのおやつ「きんこ」で作った芋焼酎「志州隼人」、販売開始

志摩の海女たちのおやつ「きんこ」で作ったプレミアム芋焼酎「志州隼人」販売開始

志摩の海女たちのおやつ「きんこ」で作ったプレミアム芋焼酎「志州隼人」販売開始

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 志摩の海女たちが火場であぶっておやつとして食べる「きんこ」(干し芋)を主原料として製造する芋焼酎「志州隼人(ししゅうはやと)」の製作発表会が12月15日、志摩市商工会館(志摩市阿児町鵜方)多目的ホールで行われた。

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 志州隼人は、志摩町越賀地区で栽培するサツマイモの一種「ハヤトイモ(隼人芋)」を煮て天日干しにした加工品「きんこ」を主原料に米麹を使って製造する本格芋焼酎。製造は広域伊勢志摩圏内で唯一焼酎を製造する酒造メーカー「伊勢萬」(伊勢市小俣町)に委託した。

 「昨年はハヤトイモの手配などが遅れ6月からの仕込みだったが、今年はさらに前倒し3月から仕込んだため熟成期間が長い分、味に深みが出た」と同社ブランドマネージャーの溝口武さん。商品は、「きんこ」だけを使用する「志州隼人ゴールド」(720ミリリットル、3,500円)と、「きんこ」を加工する際に出る甘皮や規格外の小イモで作る「志州隼人(スタンダード)」(同、1,500円)の2種類を、それぞれ580本と3180本製造、「ゴールド」には金のラベルと共に1本1本にシリアルナンバーを付けた。

 志摩市商工会が昨年から取り組む地焼酎のブランド化事業「地域資源∞全国展開プロジェクト」が元になり産声を上げた同商品。昨年12月に、「ゴールド」160本と「スタンダード」1180本を初出荷すると、評判を聞きつけた客から注文が殺到、ほぼ2カ月で完売した。飲みたくても飲めない「幻」の焼酎となった。市内の業者らで「志州隼人有限責任事業組合(LLP)」(大王町波切)を設立し、今年は販売を本格化するという。

 同商工会会長で同LLP代表組合員を務める坂下啓登(ひろとみ)さんは「志州隼人がたくさん売れ、『きんこ』の需要が伸びることで、耕作放棄地の再生、『きんこ』製造工程で出る廃棄物の活用、生産者の利益確保、食文化の継承、高齢者の生きがい作り、就農支援と雇用創出などが期待できる」と期待を込める。

 「きんこ」の供給を担当する松本朋江さんは「これまでむいた皮は捨てていたが、『志州隼人』の製品作りにその皮を使うというので捨てずに集めて干しているが、正直なところ通常の業務よりも手間がかかる。みんなが協力してくれるように地域を盛り上げたい」と話す。

 同商品を販売する「カネカ」(阿児町鵜方、TEL 0599-43-0770)の吉田五十三(いそぞう)社長は「『志州隼人』がたくさん売れれば、地域の中でお金が循環する仕組みが出来上がる。観光客が志摩に宿泊し『志州隼人』をたくさん飲んでもらえるようになれば。みんなが誇れる焼酎に育てていきたい」と意欲を見せる。

 販売は、「べんのや酒店」(志摩町和具)、「クメヤ商店」(同)、「トミヤリカーショップ」(大王町波切)、「おかよし」(同)、「隅甚酒店」(阿児町鵜方)、「カネカ」(同)、「酒やビック 志摩店」(同)、「酒やビック 阿児店」(同)、「田中屋酒店」(磯部町迫間)、「マサヤ」(南伊勢町宿浦)の各店でそれぞれ16日から行う。

 12月20日にはコミュニティー大学の「賢島大学」で伊勢萬の専務取締役中山育之さんによる講演会「幻のきんこ芋焼酎・志州隼人誕生の物語」が開催される。場所は代々木高校(阿児町賢島)1階ホールで19時~(会費500円)。

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