朝の宇治橋には真綿のような霜が降りまだまだ寒さ厳しい2月17日、今年の五穀豊穣(ほうじょう)を祈る祭典「祈年祭」が伊勢神宮外宮(げくう)・内宮(ないくう)で執り行われた。23日まで伊勢神宮125社で行われる。
「としごいのまつり」とも呼ぶ同祭、神饌(しんせん)を奉納し五穀豊穣を祈願する「大御饌(みけ)の儀」、勅使が参向し「幣帛(へいはく)」と呼ぶ皇室より送られた布などを奉納する「奉幣(ほうへい)の儀」が両宮で執り行われた。
内宮での「奉幣の儀」では、幣帛を入れた唐櫃と勅使が先頭を歩き、その後を緋(ひ)色の浅沓(あさぐつ)、白衣・緋袴(ひばかま)・小袿(こうちぎ)といった平安の装束の臨時祭主・黒田清子さんが続き、鷹司尚武大宮司、高城治延少宮司と続く参進の列を成した。玉砂利を踏みしめザクザクと音を立てながら正宮まで歩くその様子は、平安時代に時間が逆戻りしたかのような厳かな空気をつくった。
この日は、日曜と重なったため参道は多くの参拝者で埋め尽くされ、その光景を目にした参拝者は目の前を通る参進の列に自然と頭を垂れていた。同祭は、皇居と全国の神社でも執り行われた。