志摩市磯部町の恵利原地区に古くから伝わる「恵利原早餅つき」のきねをつくスピードが、昨年の記録を更新し、より高速化している。
志摩の「恵利原早餅つき」、1秒間に2.5回の高速餅つき記録更新
伊勢神宮の別宮・伊雑宮(いぞうぐう・いざわのみや)で毎年6月24日に行われる日本三大御田植祭の一つ「御田植祭(おみた・おたうえさい)」と密接に関わり、天保年間(1830~1843年)から伝わるとされる「恵利原早餅つき」は、同保存会(志摩市磯部町恵利原、TEL 0599-55-2255)によって継承され、同地区の伝統芸能となっている。現在は、地域の祭りやイベントのほか、他地域の催しなどへも「出張」依頼があるほどの人気ぶりで、「ますます繁盛」の語呂合わせ2升五合を1臼(うす)として数えると年間30カ所で70臼以上をつく。
臼に、蒸し上がったもち米が入れられると、同保存会女性メンバーらのはやし唄に合わせて最初はゆっくりと「子守唄」を歌いながら優しくこね上げる。こね終わると今度は「地つき唄」を歌いながら1本のきねを2人で息を合わせて取り合いながらついていく。はやしのテンポが早くなると、つき手の掛け声も大きくなりきねの上下運動も早くなっていく。さらに高速化すると会場が歓喜に沸き大いに盛り上がる。つき終った餅は、すぐに女性メンバーによって丸められ、志摩市特産のあおさノリとキナコをまぶして出来上がる。
天の岩戸(同)近くに咲く樹齢350年以上とされるオオシマザクラ「岩戸桜」の木の下で4月7日に行う予定だった「桜と餅と名水を楽しむ会」が、悪天候によりこの日は恵利原福祉センター(同)に場所を変更して行われた。記録の更新は、その場で行われた2回目の餅つきで達成。昨年1月に出した記録では、1秒間に2.3回をついたが、今回は1秒間に2.5回をつくスピードでより高速化した。
同保存会の谷崎豊さんは「せっかく恵利原地区に代々伝わる早餅つき。われわれには、さらに後世に伝えていく使命がある。後継者育成にも力をいれなければならないので若い人の加入にも大いに期待したい」と話す。「もっとお客さまに喜んでもらえるように、さらに高速化を目指していきたい」とも。