伊勢神宮の鬼門を守るとされる金剛證寺(伊勢市朝熊町)や八大龍王社(同)などが山頂付近に立つ朝熊岳(あさまだけ)の、標高500メートルにある山頂展望台に咲くツツジが現在、満開を迎えている。
朝熊岳は標高555メートル。「朝熊」はアイヌ語で「日が出てキラキラと光り輝く神」「太陽」を意味する言葉。金剛證寺は、平安時代に弘法大師空海が真言密教修行の大道場を開き隆盛を極めた。地元では「岳(たけ)さん」と親しみを持って呼ばれ、伊勢音頭の一節には「お伊勢参らば朝熊をかけよ、朝熊かけねば片参り」と詠われている。伊勢神宮内宮(ないくう)正殿の遷宮を終えた翌年に当たる今年は、秘仏の本尊「福威智満虚空蔵大菩薩(ふくいちまんこくうぞうだいぼさつ」が特別に20年に一度だけ開帳される(今年10月1日~21日)。
満開を迎えているツツジの背景には伊勢湾、鳥羽湾と鳥羽湾に浮かぶ島々が美しく、早朝は特にその島々を照らし一際美しい。遊歩道を歩くとさらにツツジと島々の絶景ポイントを見つけることができる。
最も北(左)側から朝日が昇る夏至に山頂展望台に立つと、直線距離で約200キロある富士山の右肩から朝日が出るのを確認できる。車で山頂まで上ることができる観光道路「伊勢志摩スカイライン」(伊勢市朝熊町)を管理する三重県観光開発(津市)は、一昨年から試験的に開門時間を夏至に合わせて3時30分にしている。今年の夏至6月21日前後の20日~22日の3日間。
夏至の日前後には鹿島神宮(茨城県)から昇った朝日が、皇居、明治神宮(東京都)、富士山(静岡県)、豊川稲荷(愛知県)「二見夫婦岩」「朝熊岳」「伊勢神宮」、高野山(和歌山県)、高千穂(宮崎県)を結ぶ太陽の道を「レイライン」として、その太陽が昇る道の直線上に立つことでパワーを得ることができると言われている。
6月8日早朝には、自転車レースのツールド三重「伊勢志摩スカイラインヒルクライムレース」も開催される。
通行料金は、自動二輪車=880円、軽・小型・普通自動車=1,250円。同観光道路の通常の開門時間は6時~20時(金剛證寺開山忌に当たる6月27日・28日は5時~20時)。伊勢市と鳥羽市の市営駐車場利用者は駐車利用券を見せると通行料金が2割引きになる。