7月1日、2日、佐渡市で開催された「海ごみサミット・佐渡会議」に鳥羽市も参加し、木田久主一鳥羽市長はパネリストも務めた。新潟県佐渡市と、海に漂着、漂流するゴミ問題についてさまざまな提言を行い、各地で活動するビーチクリーンアップのサポートなどを行っているNPO法人「JEANクリーンアップ全国事務局」(東京都国分寺市)が共催した。
同会議は、国内の海洋漂流ごみ、海岸漂着ごみなどのごみ問題を地球環境問題の一つとして捉え、その改善に向けた取組体制の構築などを目的に毎年開催されている。2003年「離島ゴミサミット・とびしま会議」(山形県酒田市)から始まり、2004年「島ゴミサミット・つしま会議」(長崎県対馬市)、2005年「島ゴミサミット・おき会議」(島根県隠岐の島町)、2006年「海ごみサミット・らうす会議」(北海道羅臼町)と続き、今回で7回目。
海岸の清掃活動を行った1日に続き、2日は、開催趣旨、経過報告、JEAN、環境省の現状報告のほか、「自治体と国の役割分担」をテーマに酒田市、対馬市、鳥羽市、隠岐の島町、佐渡市の首長と環境省地球環境局による「自治体首長セッション」が行われ、討議を受けて今後の連携について意見交換が行われた。最後に「佐渡会議アピール」の採択と「佐渡会議宣言」を発表し閉幕した。
「自治体首長セッション」で、鳥羽市長は「国からはごみがたどり着いた先に対して補助を出しているが、それでは抜本的な問題解決にはならない。しかも100%補助でないので自治体の負担は減らない。製品の価格にごみ処理料、リサイクル料などを上乗せするデポジット制度の促進や、包装容器の消滅型素材への転換を進めるなど社会構造全体を見直す必要がある」と提言。鳥羽市は一昨年から「伊勢湾漂着ごみクリーンアップ運動」を展開、伊勢湾口に位置する答志島(とうしじま)には毎年大雨、台風のたびに漂着ごみや流木がたくさん打ち寄せられ問題化している。同市環境課の中村孝さんは「現状では答志島が『伊勢湾のごみフィルター』の役割を担っている。地球環境においてのごみ問題の縮図と考え、答志島の漂着ごみを象徴化し、周辺市町村や国に向けて問題提起していきたい。来年には『海ごみサミット』を鳥羽市で開催したい」と話している。
JEAN代表の小島あずささんは「昨年から国も局長級の対策会議を行った結果、環境省のモデル調査事業をはじめとして、拡充・新規の対応策がとられつつある。しかし、海のゴミがこうなる前に作られた法律で対応するのには限界もあり、法制度まで踏み込んだ議論はまだこれから。JEANでは、国、地方公共団体、NGO/NPO、研究者、産業界などの関係者がともに当事者として情報を共有し、改善のための意見交換や必要に応じての作業部会などを動かすプラットホームが必要と提案し、関係各位との協議を経て先月からスタートさせたところ。鳥羽市の取り組みは、流木災害から漂着ゴミ全体へと視点を広げたもので、被害を受けている漁民の方々も一緒になってこの問題をいかに改善していくべきかの意見交換などもなされており、積極的で評価できるもの。川を通って海まで流れてくる生活ごみの問題を、上流域の住民とともに考え、対処していく必要があるので、答志島の海岸が受け止めたごみのことを本土側の市民も一緒に考えていく機会を継続的に作っていってほしい」と話している。
新潟県佐渡市、新潟県粟島浦村、山形県酒田市、三重県鳥羽市、島根県隠岐の島町、長崎県対馬市、長崎県壱岐市の参加した首長の連名により、当事者の立場からより具体的かつ積極的な方策を連携しながら図っていくことを表明する「佐渡会議アピール」を採択し、安心、安全に利用できる豊かな海を、子々孫々に守り伝えていくために、問題の解決を目指し行動していくとする「佐渡会議宣言」を発表した。
環境省は全国7地域のモデル地域を選定し「漂流・漂着ゴミ国内削減方策モデル調査」を今年度実施。太平洋側では鳥羽市が唯一選定されている。