太陽神・天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祭る伊勢神宮内宮(ないくう)宇治橋前の大鳥居中央から冬至の日にあたる12月22日早朝7時40分ごろ、一直線に差した太陽の光が突き抜けた。大勢の人は「ご来光」を拝もうと1時間以上前から宇治橋前で待っていた。
【その他の画像】伊勢神宮内宮宇治橋前大鳥居の真ん中から「ご来光」
1年で最も昼間の時間が短い冬至(北半球)は、「陰極まって陽となる」「冬が終わり春が来る」という「一陽来復」(易経)を意味するという。日本では、ゆず湯に入ったり、小豆粥(がゆ)やカボチャを食べたりする風習が今も残る。
この日の日の出時刻は6時56分だが、宇治橋前正面の島路山を越えて朝日が出るのは日の出時刻より約40分後。大鳥居の中央から朝日を見ることができるのは冬至を挟む前後2カ月間だけ。
周囲が明るくなり、太陽の光が宇治橋の守護神「饗土橋姫(あえどはしひめ)神社」を照らす。時間と共に太陽が上昇するとその光の筋は、じわじわと大鳥居の中に吸い寄せられるように移動する。宇治橋前に並ぶ人々の数は時間の経過と共に増え続け、ロータリーとなっている車道にまで膨らんでいる。
7時30分ごろ雲の塊が太陽を遮ると現場が少しざわめく。7時40分ごろになっても太陽の強い光は届かない。やがて雲が移動し空が見え始めると太陽の強い光が温かさを伴って人々の元へ到達する。手を合わす人、目を閉じて静かにする人、その光景を撮影しようと待ち構えるカメラマンの一眼レフカメラからはシャッター音が鳴り響き、スマホを持つ一般人の手は一様に天高く上がる。
来年1月24日に伊勢市観光文化会館(伊勢市岩渕)で一人芝居公演を行う俳優の串間保さんも太陽の光の有り難さを感じたひとり。串間さんは「12月16日に内宮の月次祭(つきなみさい)を奉観し、五十鈴川にて禊(みそぎ)を体験した翌朝、内宮特別参拝した帰りに宇治橋前の日の出シーンに偶然遭遇した。その美しさに翌18日も同じ時刻に拝観。冬至の日にも是非拝みたいと思い、中2日で昨晩東京から飛んできた。太陽の光はとても柔らかく、七色に光り輝いていた。この場に立ち会えたことにただただ感謝。この喜びを出会う人に伝え、渡していくことを心に誓った。ありがとう」と話す。
伊勢市観光協会は、内宮駐車場に設置したテントで「冬至ぜんざい」を振る舞い、ユズを無料配布した。