伊勢志摩サミット開催まであと1週間に迫った5月19日、伊勢湾に面した明和町の大淀海岸で早朝に太陽と富士山が重なる景色が出現した。
明和町は、かつて伊勢神宮に約660年間奉仕した斎王(さいおう)が住んでいたといわれる幻の宮殿「斎宮(さいくう)」があった地。斎王は祓川(はらいがわ)でケガレをはらい伊勢神宮での祭典に臨んだという。
この日、祓川の北側の堤防から富士山を朝日が飲み込むような形で、または朝日の中に富士山が入るような形で重なった。
三重県から富士山までは直線距離で200キロ以上。冬の寒い朝の空気が澄んだ日に富士山を観測することができるが、気温が暖かくなる春から夏にかけてはほとんど見ることができない。雲がなくても空気中の水蒸気が多いと視界が遮られ見ることができない。
三重県の伊勢湾沿岸では今の時期から夏至ごろまで、毎日少しずつ南に移動する朝日と富士山が重なる景色が見られる。夏至の日には二見興玉神社(伊勢市二見町)の夫婦岩の大しめ縄の間から太陽と富士山が重なるのが見える。その後折り返して北上し7月初旬まで朝日と富士山が重なる。
富士山と朝日が重なる場所に身を置くと、曇りや雨でなければほぼ100%、富士山のシルエットが太陽に照らされて浮かび上がる。
5月20日は雲が多かったため、富士山と朝日が重なる姿を見ることができなかった。