真円真珠発明100周年を記念して10月21日、養殖・加工・流通・小売りなどの真珠関連業界の関係者が一堂に会し、「伊勢志摩真円真珠誕生100周年記念フォーラム」を賢島宝生苑(志摩市阿児町賢島)で開催した。主催は伊勢志摩真円真珠誕生100周年記念事業実行委員会。
同フォーラムは現役若手世代を中心にアコヤ真珠業界に従事する人たちが集まり、アコヤ真珠の生産、加工、流通などそれぞれの立場で現状報告を行い、相互理解と現状打開のための具体策を考えること、アコヤ真珠業界内の横断的なネットワークの構築を目指して開催されたもの。
午前の部では先進的真珠養殖業者として、長崎県対馬真珠養殖漁業協同組合の平井正史さんと愛媛県下灘漁業協同組合の和田真一さんが、それぞれ「対馬における感染症対策と高品質真珠作り」「真珠養殖の現場から(綿密な真珠養殖を目指して)」とした専門的な真珠養殖技術についての発表があり、午後の部では意見交換会、パネルディスカッションが開催された。
パネルディスカッションでは「アコヤ真珠の価値創造のために自分たちがすべきこと」について議論が行われた。15年前までは真珠と言うとアコヤ真珠がほとんどだったが、今では白蝶真珠、黒蝶真珠、淡水真珠など真珠だけでも選択肢ができたので、現状のままでアコヤ真珠が売れ続けることは不可能。メードインジャパンとしてのアコヤ真珠の価値を高めたブランド化が必要で、それには日本の真珠の優位性である真珠層の透明感と独特の照りをもった良質の真珠を作ることが重要。今までの100年間は先人たちが築いた恩恵を受けてきたが、これからの100年はアコヤ真珠がいつまでも誇り高い宝石であり続けるように高い志のもとに行動を起こさなければならない――とまとめた。中には、現在4つあるアコヤ真珠の入札組合を1つに統一していく必要があるという踏み込んだ議論も。
同委員会の覚田譲治実行委員長は「真珠業界のこれからの100年のあり方に対して、『自分に何ができるか』を考えるきっかけになればと思い企画した。今回のフォーラムでできたネットワークが必ずプラスに働くと思う」と期待を寄せる。