環境省・地球環境局環境保全対策課は2008年1月7日、漂流・漂着ゴミ問題を解消するための調査として、伊勢湾に流れ込む6河川の河口部からペットボトル600本を放流する。
同調査は、国内の海岸に漂着する年間15万トンにもなる「ゴミ」が海岸機能の低下、生態系を含む環境・景観の悪化などの問題を引き起こし深刻化していることを受け、関係省庁により設置された「漂流・漂着ゴミ対策に関する関係省庁会議」が、今年度からの2年間を「漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モデル調査」として実施するもの。全国7県11海岸がモデル地域とし選定され、山形県酒田市と三重県鳥羽市答志島(とうしじま)で漂流・漂着ゴミについて調査を行う。ペットボトルを大量に放流する調査は全国でも初めてだという。山形県酒田市赤川河口部では12月15日にすでに100本のペットボトルの放流を終え調査に入っている。
調査内容は、主に漂着ゴミの発生源や漂流経路を探ることを目的として、伊勢湾に流れ込む河川「木曽川」「鈴鹿川」「中の川」「安濃川」「櫛田川」「宮川」の河口部から、位置情報を知らせる端末(GPS)を入れたペットボトルと生分解性素材でできた500ミリリットルのペットボトル100本(合計600本)を放流する。
ペットボトルは、回収できなかった場合も考え、1年~1年半以内で自然界に分解され環境に悪影響を与えない生分解性プラスチック素材であるPBS(ポリブチレンサクシネート)を使用。ペットボトル側面には、漂着ゴミの調査であること、拾ったらすぐに連絡をしてほしい旨が記載の上、連絡先と電話番号が印字されている。また、どこの河口から流したものかわかるように色で識別できるようにもしている。
環境省の石橋さんは「伊勢湾内もしくは近隣海岸でペットボトルを拾ったらすぐに連絡してほしい」と協力を呼びかける。ペットボトルは可能な限り回収できるように事前に放流場所周辺の地方公共団体など関係者への周知と、放流後に周辺の海岸・海域で回収作業を行うことを予定。
鳥羽市答志島は伊勢湾の湾口に位置するため、ちょうど「伊勢湾のごみフィルター」の役割のように各河川から流れるゴミや流木などが集積し、その撤去作業などが問題化している。一昨年から「伊勢湾漂着ゴミクリーンアップ運動」を展開するほか、来年には「海ごみサミット鳥羽会議」の開催も予定する。