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伊勢「宇治神社」で弓の事始式 50年連続弓を射る達人に花束も

伊勢「宇治神社」で弓の事始式 50年連続弓を射る達人に花束も

伊勢「宇治神社」で弓の事始式 50年連続弓を射る達人に花束も

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 矢を射ることで邪気を払い、国家の安寧をはじめ家内安全、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る祭典「弓の事始式」が1月17日、宇治神社(伊勢市宇治今在家町)で行われた。

【その他の画像】伊勢「宇治神社」で毎年恒例の弓の事始式

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 宇治神社は、伊勢神宮内宮(ないくう)の鳥居前を守る氏神として鎮座する。主祭神は大山祇神(おおやまつみのかみ)で、足神神社の宇麻志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)、蓬莱稲荷神社の宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)など25柱の神を祭る。宇麻志阿斯訶備比古遅神は、生き生きとした生命力を授け、細胞の働きを活性化させ病気を癒やし、微生物の働き、菌類の発酵を促進する神として知られるが、ここでは「足神さん」と親しまれ、伊勢市出身の女子マラソンアテネ五輪金メダリストの野口みずきさんがアテネに行く前に参拝したことから、近年は、「足が速くなるように」「良い記録が出るように」とスポーツ選手の参拝が増えている。

 「弓の事始式」は、元々は後に合祀(ごうし)される弓場菅原社で始まった祭典で、1620年ごろに始まったとされる。明治時代に一時途絶えたが1884(明治17)年から今日まで毎年続けられている。

 射手には今年で50回目となる弓道歴60年以上の錬士・杉山英夫さんと今回が2回目で、弓道歴15年の真野昭義さんが選ばれ、肩衣(ぎぬ)とはかまの裃(かみしも)姿で旧社殿地跡に設置した「鬼」の的に向かって2本ずつ、計4本の矢を射った。矢は2本が命中した。祭典後、杉山さんに50年間の功績に敬意を表して花束が贈られた。

 中山貴生宮司は「古来より日本では1月17日に射礼(じゃらい)という宮中儀式があり、奈良時代頃から朝廷の年中行事として祭祀(さいし)や式典などの場で的を射る儀式が行われるようになった」と説明する。

 「『心だに 誠の道にかなひなば 祈らずとても神や守らむ』神社へのお参りも、清らかな心で感謝と祈りをささげていれば、願わずとも神様の方からお導きがあり、気が付けばふさわしいところにたどり着いている。と、弓場菅原社の祭神・菅原道真公が和歌を詠んでいる。『術』が技や表現を鍛えるものとすれば、『道』は心や魂を磨き上げる。弓道と名の付く通り、弓を射ることを通して人格を高め、美しい生き方につなげていくもの。美しい所作を身につけ、それを自らの内面に呼応させることで、人格を高めていく道の精神を尊んでいくことこそ、先人たちから受け継がれてきた日本の大切な伝統であり文化である」とも。

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