
伊勢神宮内宮(ないくう)の外玉垣(とのたまがき)南御門の屋根の中央に現在、セッコクの白い花が咲いている。
セッコクの花が咲く場所は、皇祖神・天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祭る正宮(しょうぐう)への階段を上り、鳥居のある板垣南御門を入ってすぐの一般の人が参拝できる外玉垣南御門のかやぶきの屋根の上。花が咲く横にも同様のセッコクが根をつけているのが確認できる。
セッコク(石斛)は、日本や中国、東南アジアに分布するラン科の植物で、岩の上や大木の枝に着生する着生植物。5月~6月に開花し、野生のランの中でも美しい花を咲かせることから観賞用としても人気が高い。薬草でもあるため日本神話の薬祖神・少彦名命(すくなひこなのみこと)にちなみ、スクナヒコノクスネという別名を持つ。
伊勢神宮広報室次長で神宮参事の音羽悟さんは「神宮の森の木に着生しているセッコクが花を咲かせているのはよく見かけるが、ご正宮の外玉垣南御門の屋根の真ん中で花を咲かせるのはとても珍しい」と話す。
宮崎市在住の山下裕子さんは「初めての伊勢神宮。それだけでもうれしかったのに、屋根の上にかれんな白い花を見つけて、とても幸せな気分になった」と喜んでいた。
現在、伊勢神宮の神苑では国華会(伊勢市宇治中之切町)によるハナショウブやイセナデシコなどの花の奉納展示が行われている。