太陽と富士山と、海底に沈む興玉神石(おきたましんせき)とその鳥居の役割を果たすしめ縄で結ばれた夫婦岩、そしてその現場に立つ自分が、夏至の日にだけ一直線で結ばれる。
富士山と太陽が重なる写真が撮れる絶好の場所「富士見橋」には大勢のカメラマンが
毎年夏至の日を挟む前後2カ月間、二見興玉神社(伊勢市二見町)の境内には日の出前から、夫婦岩の間から太陽が昇る瞬間を見ようと、修学旅行生やアマチュアカメラマンらで賑わっている。富士山の写真を撮り続ける長野出身の吉沢茂富さんは6月14日から1週間滞在し富士山を狙っている。
吉沢さんは「梅雨の季節に、太陽が出て富士山も見ることができる確率は奇跡に近い。10年通い続けて1枚撮れるかどうかだと思っているので、気長に待っている」と話す。過去に太陽と富士山が重なった写真を撮ったことがある地元のプロカメラマン加藤直人さんは「もう数年、夏至の日に富士山は出ていない。そろそろ出てくれれば…」と期待する。
5月21日に、沖合いに沈む興玉神石=ご神体に生える藻(アマモ)を刈る「藻刈神事(もかりしんじ)」が執り行なわれ、新たに刈り取った藻で作った同神社お祓い時に使用する「祓具(はらいのぐ)」や、守りの「無垢塩草(むくしおくさ)」で、6月21日3時30分から執り行われる「夏至祭(げしさい)」を迎える。夏至祭には祭典の後神職と一般参加者らが夫婦岩の前の海岸でふんどし姿で禊(みそぎ)を行う。