「子供のころ、お不動さん(爪切不動尊)の大祭になると、縁日が開かれ子ども心に楽しかった記憶がいつまでも残る。しかしながらいつの日か縁日がなくなり寂しくなってしまった。自分にも子どもができ、その時の思いを子どもに体験させたいと、祭りを復活させた」と話すのは爪切不動尊祭奉賛会の森田聡会長。
子どもに祭りの縁日の楽しさを体験させたいと、祭りを復活させた爪切不動尊大祭
昔この地を訪れた弘法大師が百日の護摩(ごま)をたき、滝で身を清め祈とうし、無人の山に入り自然石に自らの爪で刻んだという不動明王を祭る「爪切不動尊(つめきりふどうそん)」(志摩市志摩町御座)で1月16日、爪切不動尊大祭が開かれた。
同大祭は、毎年1月16日に開催されていたが、祭りを盛り上げる縁日などは衰退していった。森田会長らが祭りの復興を目指し、2006年にクジ引きや出店、イベントなどを開催。2008年には宝くじ助成を受け、子どもみこしを復活。5回目になる今回は、ござん子ソーランやラムネの早飲み大会などで、地元以外の子どもたちも集まるようになった。
森田会長は「昔は浜島のカツオ船の漁師らが大漁祈願に、船で参拝しお札を受けにやってきていた。昔のにぎわいが戻るように継続していければ」と話す。
爪切不動尊は、臨済宗南禅寺派・潮音寺(同)の奥の院にあたる。弘法大師が掘り当てたとされる弘法井戸や、自然石に梵字(ぼんじ)を刻んだ室町時代の梵字石、臨済宗南禅寺派の第2代管長を務めた御座出身の勝峰大徹(かつみねだいてつ)禅師の碑などがある。