三重大学「地域イノベーション学研究科」主催による「第2回地域イノベーション学に関する国際ワークショップ『地域イノベーションの種』産学共同研究の種となる異分野の融合研究と境界領域の研究」が10月14日・15日、同大学メディアホールで開催されている。
同科は、関連学部を持たない独立大学院として昨年4月、地域イノベーターの養成、プロジェクト・マネジメント(PM)ができる研究開発系の人材育成のために創設された。企業との共同研究を通して、実践的に研究開発とPMが学べる学科の創設は日本初の取り組みとしても注目されている。
2回目となる同ワークショップでは、地域イノベーター25人がこれまでの研究成果を発表する。広域伊勢志摩圏に本社を置く企業経営者からの発表もあった。
初日の発表では、同科学生でもあり「伊勢ひじき」を製造販売する「北村物産」(伊勢市東大淀町)の北村裕司さんが、環境問題に影響を与えるとされている窒素に注目し、ヒジキやワカメ、アオサなどの海藻類が海水中の窒素を吸収することから海藻類の活用方法などを提案した。同じく同科学生で「おにぎりせんべい」の製造販売などで知られる「マスヤ」(同市小俣町)の浜田吉司さんは「地域イノベーション」そのものについて考察。米国コロラド州リトルトンの成功事例「エコノミック・ガーデニング」手法を取り上げ、地域の中小企業が内発的に発展する仕組みが必要と説き、実際に伊勢市の行政や経営者らに働きかけ実践していることを説明した。(学生でない)民間企業からは、「伊勢志摩経済新聞」を運営するグローブ・データ(志摩市阿児町)が参加、地域イノベーション創発・発展には地域メディアを活用することが有効と説いた。
同研究科長の鶴岡信治教授は「地域から、まずは三重県から世界で通用し、イノベーションできる人材の育成を目指す。今回の国際ワークショップはそのための一環」と話す。