伊勢神宮は5月26日・27日の2日間、伊勢市内に住む数え歳で80歳以上の高齢者(対象者=1万2,921人)を招待し、長寿と健康を祈願する「延寿大々神楽(えんじゅだいだいかぐら)」を行った。
かつて神宮の領地内で生活する住民で現在伊勢市内に住む人々のことを「神領民(しんりょうみん)」と呼ぶ。神領民は式年遷宮で使う木材を運ぶ行事「お木曳き(おきひき)」や白石を集め敷地内に敷き詰める行事「白石持ち(おしらいしもち)」など20年に一度開催される式年遷宮に対して積極的に奉仕する。延寿大々神楽は、その奉仕に感謝し、何かお礼ができないかと戦後考えられたもので、伊勢神宮内宮で毎年行われ今年で63回目を迎える。
神楽殿で神楽を奉奏し長寿を祈願、500人収容可能な神楽殿は両日とも満員になった。参加者はその後、お守り、紋菓、湯飲みの記念品をプレゼントされ、さらに今年80歳を迎える1932(昭和7)年生まれの高齢者(対象者=1,548人)には、御用材のヒノキでできた延寿杖(えんじゅつえ)も贈られる。
「神領民として伊勢神宮にご奉仕できることは誇り」「伊勢の人は神宮と共に生きている」「神宮あっての我々」と伊勢神宮と神領民の深い関係が、参加者の声から理解できる。
今回初めて参加し、杖をもらい手に取った感想を二見町在住で今年80歳を迎える山下弘さんは「とてもすがすがしい気持ち。一層がんばろうと思った」と笑顔で話す。東豊浜町在住で今年84歳の右京文治さんは「今回で4回目、毎年この機会に参加し、伊勢神宮にお参りに来る」とまだまだ元気。杖はどうしているか?と聞くと「大事に家に飾ってある。冥土の旅に使うため、死んだときに一緒に持っていく(笑)」教えてくれた。
同地区の今年の最高齢者は、女性が1905(明治38)年8月13日生まれ107歳の高木すみゑさん(楠部町)、男性が1907(明治40)年3月11日生まれ105歳の杉村仙次さん(大湊町)。