伊勢国際宗教フォーラム(事務局=伊勢市神田久志本町)の設立大会が11月17日・18日、皇學館大学伊勢学舎百周年記念講堂(同)で開催された。18日にはダライ・ラマ法王の記念講演も行われ、一般にも公開された。
同フォーラムは17日に設立総会を開催、日本の基層精神を再認識し、「伊勢」を基点として、日本と世界の宗教関係者・研究者の対話を促進し、混迷する現代社会において世界に広がる平和への指針となる新たな価値観の創造を目指すために設立された。代表者には皇學館大学の岡田重精名誉教授が選出され(任期=3年)、年次大会の開催、研修会・勉強会などの開催、他団体との交流、出版物刊行などを主事業として展開する。ホームページによる情報発信なども予定しているという。
フォーラム設立を記念して行われた、チベット仏教の最高指導者=ダライ・ラマ14世法王の講演では、「宗教と調和」と題して、「自分の使命は、人間価値を促進させること」「どの宗教でも『幸福の追求』を目的としているのに宗教ごとでそのアプローチが違うために、宗教観に違いが生じ争いを引き起こしたりしている。互いが尊重し合い調和を図ることが必要」と話したほか、「神道(しんとう)」への興味も示した。その後のパネルディスカッションでは神道・仏教・修験道の代表者、実践者らと意見交換を行い、ダライ・ラマ誕生エピソードを披露するなど会場の笑いを誘う場面もあった。法王は17日から2泊し、18日には9時から伊勢神宮内宮への参拝も行っている。
閉会式ではシンガーソングライターのイルカさんが登場するサプライズもあり、会場は大いに盛り上がった。最後にイルカさんの歌声とともに「ふるさと」を全員で合唱し閉幕した。
同フォーラムの事務局を担当する同大学本澤雅史教授は「まずは紀伊半島から伊勢を中心とする『(広義での)宗教』関係者・研究者とのコミュニケーションを密にし、情報交換し合いながら、現在問題となっていることについて『宗教』の立場で考え、問題解決する方法を導きだしていきたいと思う。『伊勢』から世界に情報発信できれば」と話している。