伊勢志摩から直線距離で約200~230キロ離れた位置にある高さ3,776メートル日本最高峰の富士山が、新年を迎えてから7日連続観測できた。これまでに連続観測の記録はないが近年では大変珍しいとカメラマンらの間で話題になっている。
伊勢志摩から最もよく富士山が見えるのは、夜明け前の約30分間、雲がなく晴れ渡り、気温が下がる1月~3月。中でも、平日は工場が操業し煙突からの煙などで大気が汚れるため、煙が出ない休日で、前日に雨が降った後晴れ風が吹くと、見える確率は格段に上昇する。
全国に約1,300社ある浅間神社の総本山=富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)では浅間大神、木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)を祭り、富士山を神格化している。古来より霊峰と呼び、富士講は今でも全国各地で盛んに行われ、この地域でも毎年富士登山を兼ねた行事が続けられている。
1年間に30日観測できるかできないかの大変希少な伊勢志摩からの富士山。今年は元旦こそ見えなかったものの、2日に初富士を観測、その日は昼間にも見ることができた。その後も確実に富士山とわかるシルエットが早朝のカメラマンらを楽しませ、8日の朝まで観測することができた。9日の朝には残念ながら雲がかかり見ることができず、伊勢志摩からの富士山連続観測記録は7日でストップした。
最もきれいに見えたのは伊勢志摩に初雪が舞った7日の早朝。空一面に雪雲が覆い、誰もがあきらめていたが東の空に少しだけ隙間が開き、そこから裾野までくっきりととてもきれいな富士山が現れた。
伊勢志摩経済新聞のカメラマンで富士山に魅せられた一人でもある泊正徳さんは「7日の日の富士山はこれまで見た中でも一番美しかった。横山展望台(志摩市阿児町)からの富士山は、その雄大さが最も際立っている」と話す。「地元の人でも富士山を直接見た人は少なく、友人に写真を見せると、合成写真と疑われたほど(笑)。これからまだまだチャンスはあるので朝早く起きて、雄大な富士山を見に出かけてみては」と薦める。
伊勢志摩からは、大淀海岸(多気郡明和町)から二見海岸(伊勢市二見町)一帯までの各所、朝熊岳(伊勢市朝熊町)「伊勢志摩スカイライン」展望台、鳥羽から志摩を走る観光道路「パールロード」の各所、安乗崎灯台(志摩市阿児町安乗)、大王崎灯台(大王町波切)付近、御座金比羅山(志摩町御座)頂上などから見ることができる。