志摩の漁師が船上で面倒だからと釣ったカツオの切り身と酢飯を手でこね混ぜて食べたと伝わる郷土料理「手こねずし」に、志摩のブランド豚「パールポーク」を使ったあり得ない組み合わせのオリジナル「手こねずし」が2月2日、志摩市文化会館(志摩市志摩町和具)の調理室で完成した。
あり得ない組み合わせ?の豚肉とアコヤ貝の貝柱入り真珠手こねずし
本来あり得ない組み合わせのオリジナル「手こねずし」は、三重県畜産協会の女性の会「サン・カラット」(津市)と志摩町の女将(おかみ)の会「志摩いそぶえ会」(同)の料理交流会の中でできた料理25品の中の1品。
「サン・カラット」は、三重県内で(鶏、豚、牛など)畜産業の女性の会で2006年発足。さまざまな勉強会や他団体との交流会などを行っている。組織名の「サン」は三重県の「三」、畜産の「産」、輝く太陽の「サン」に、輝き「カラット」晴れる気持ちを持って命名。今回参加メンバーは養豚業の8人。
「志摩いそぶえ会」は、志摩の郷土料理など食文化の普及・研究活動などをする。これまで、廃れそうになった郷土料理「おんこずし」の発掘や真珠を育むアコヤ貝の貝柱を使った新・郷土料理「真珠てこねずし」などを育ててきた。同活動が、昨年12月農林水産省「食と地域の『絆』づくり」の優良事例として選ばれた。
伊藤泰子会長は「豚肉入りの手こねずしは『サン・カラット』メンバーの『河井ファーム肉よし』さんの志摩のブランド豚『パールポーク』をさっと湯通しして手こねずしのたれにつけただけ。本来、手こねずしは新鮮な魚を使うものだが、せっかくの交流会だからおいしい豚で作ってみよう――と単純な発想から。みんなからは『あり得ない』と言われたが、これが意外に好評だった(笑)。この交流会がなければ絶対発想しない食材かも。豚肉が合うという発見があった」と話す。
料理は、豚肉をアラメで巻いたものや豚肉入りの恵方巻きなど、豚肉入りの手こねずしは一般的なカツオの切り身と今しか食べられないアコヤ貝の貝柱を入れた2種類が完成した。
「サン・カラット」の小林陽子会長は「レシピがなく、『その場で考えて作りましょう~』と言われた時はびっくりしたがとても楽しかった。アオサの酢の物やアラメを使った料理などとても勉強になった」と感想を漏らした。
参加した三重県伊勢農林水産商工環境事務所の田垣実郷さんは「生産者が物を作り販売することを『第6次産業』というようになってきたが、さらに地域・町おこしの要素を加え『第4次産業』とし、1×2×3×4で『24次産業』化を目指すことが重要。そういう意味でもこのような取り組みは将来が楽しみ」と期待を込めた。