環境省レッドデータブックで絶滅危惧I類に、三重県レッドデータブック絶滅危惧IA類に指定されているゲンゴロウの一種「コガタノゲンゴロウ」が11月、伊勢志摩地域内で発見された。三重県での記録は1984(昭和59)年以来27年ぶり。
発見場所は鳥羽市内の泥が堆積した用水路で、詳細な場所は明らかにしていない。採取したのは、伊勢志摩国立公園パークボランティアを務める北井誠也さん。12月3日に公表し、現在、横山ビジターセンター(志摩市阿児町鵜方)で12月12日まで一般公開している。
一般的にゲンゴロウと呼ばれる日本最大のナミゲンゴロウが体調34~42ミリあるのに対し、コガタノゲンゴロウは24~29ミリ。同個体は27ミリの雌。ナミゲンゴロウよりもコガタノゲンゴロウの方が絶滅を危惧されている。40年ほど前には日本各地で生息していた昆虫だったが、農薬散布や生活排水流入などによる水質悪化のほか、ブラックバスなどの外来魚の増加、沼地の減少や卵から幼虫、さなぎへと変態するための環境が急激に減少したのが原因でいなくなった。神奈川、愛知、和歌山、京都、大阪などでは絶滅したと考えられている。
北井さんは「昔はどこにでもいたゲンゴロウが今ではこんなに大騒ぎする昆虫になってしまった。コガタノゲンゴロウを見つけたとき、自分が野山を駆け巡った子どものころを思い出したが、今の子どもたちにはそうした喜びはあるのだろうか?と考えた。昔のような自然が戻り、未来の子どもたちが野山を駆け巡る姿を取り戻したい。大自然の中には現代人が忘れている大切なものがたくさんある」と思いを込める。
開館時間は9時~16時30分。展示期間中、スタッフによる解説も行う。